劇中で親子を演じたリリー・フランキーと城桧吏くん

 映画『万引き家族』の大ヒット御礼!Q&Aイベントが13日、東京都内で行われ、出演者のリリー・フランキーと子役の城桧吏くんが登壇した。

 是枝裕和監督が手掛けた本作は、東京の下町を舞台に、犯罪でしかつながれなかった家族の“許されない絆”を描いた物語。第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いた。

 劇中で、血のつながらない父・治と息子・祥太を演じた2人。観客からの質問に答えるコーナーで「治が(本当の意味で)父になった瞬間は、どこだったと思うか?」と尋ねられたリリーは、「治はこの映画の中で1回もちゃんと父親になれていない」と自身の見解を語った。

 その理由として、現場で是枝監督から「最後まで駄目な人でいてください」「でくの坊のお父さんでいてください」と伝えられていたことを明かした。

 リリーは「父親になってはいけない。その代わり俺がすごく駄目な人間だから、祥太に『これ、おかしいんじゃないの?』という気付きが生まれ、祥太がどんどん成長していく。(撮影は)そういう俺と祥太のピンポンだったと思う」と振り返った。

 リリーは是枝監督の演出エピソードも披露した。「撮影が始まる半年前に、みんなで顔合わせをした。そこで是枝さんが僕らみんなの家族写真を撮って、俺はそれを携帯の待ち受けにしていた。撮影のときには祥太はだいぶ大きくなっていたけど、是枝監督の演出の魔法というか、ずっと一緒にいたような気がした。最初から違和感がなかったんです」と明かした。

 海水浴のシーンについても「祥太に『おっぱい大きいのがみんな好きなんだよ』と俺が言うシーンがある。何で是枝さんがこれを使ったかというと、『本当の親だったら言わないよね。偽物の親だからあのせりふを使ったんです』と(言っていた)。監督はちゃんと緻密に考えてる」と語った。