「今、自分が何をしたいのか、お客さまに何を伝えたいのかをすごく考えています。ミュージカルなどのお芝居では『役』を追求していくけれど、コンサートは『自分自身』と向き合うことが求められる」。一昨年の『REON JACK』、昨年の『REON JACK2』に続き、この秋に開催が決まったコンサート『REON JACK3』について、柚希礼音はそんな風に話した。

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宝塚時代も『REON!!』『REON!!Ⅱ』、そして『REON in BUDOKAN~LEGEND~』を成功させてきた柚希。初めてのコンサート形式だった『REON!!』で「ただカッコいいだけでは2幕まで持たない」と学んだことは衝撃の体験だった。だが、それが新たな柚希礼音の始まりとなり「自分がとても楽になった」という。以来、柚希にとってコンサートは、自分自身を見つめ直すための大切な機会であり続けている。

『REON JACK2』に続いて各界の実力派ダンサーが共演するが、大貫勇輔とは「ふたりでもっと思い切ったデュエットを」、クリスティアン・ロペスとは「ムーディーなタンゴとは違った感じで踊ってみたい」、YOSHIEとは「また一緒に色々なジャンルに挑戦したい」と、各共演者とも新たな高みを目指す。

自身も「ダンサーとしての体を作り直さねば」と気持ちを新たにしている。宝塚を卒業してリフト「する側」から「される側」になったが、「男役の経験から、遠慮しながらやる方が重く感じることがわかっている」ので、「すみません…でも、行きます!」と思い切ってやっている。今回も華麗なリフトを期待したいところだ。

ここ1年間の舞台を振り返ってみても、『ビリー・エリオット』では「今まで演じたことのないような役でさらに吹っ切れた」、『マタ・ハリ』では「宝塚時代『スカーレット ピンパーネル』のショーヴラン役に出会った時と同じくらいの転機になった」、そして地球ゴージャスプロデュースの『ZEROTOPIA』では「男性に守られる役もとても勉強になった」と、新たな自分発見の連続だった。

常に「挑戦」を意識して、ファンの期待に応え続けてきた柚希だが、今回の『REON JACK3』では「挑戦自体を楽しむこと」もテーマだ。「お客さまと心を通い合わせてほっこりできる場面もつくっていきたい」という。来年は芸歴20周年。様々な舞台、様々な役で殻を破り続けてきた今、『REON JACK3』では少し肩の力の抜けた柚希礼音が見られるのかもしれない。

公演は10月19日(金)から21(日)まで東京・東京国際フォーラム ホールC、11月8日(木)から11(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。

取材・文:中本千晶