4月19日に行ったタブレット端末のタッチ&トライイベント

PCの販売台数が伸び悩むなか、タブレット端末の販売台数は順調に伸びている。2013年は製品数が急増したことで、販売台数前年比は平均約200%と驚異的な伸びをみせた。2014年は勢いがやや衰えたものの、2013年の実績を上回っている。

●ユーザー層の拡大を目指して若年層向けのイベントを開催

好調に販売台数を伸ばしているタブレット端末だが、普及は進んでいるのだろうか。「タブレット端末はイノベータ(革新者)、アーリーアダプタ(初期採用者)には広まったが、一般ユーザーまでは広がっていない」。こう話すのは、レノボ・ジャパンでコンシューマ事業を担当する留目真伸執行役員専務だ。

イノベータ、アーリーアダプタは流行に敏感な層で、市場全体の約18%を占めるといわれる。2013年のタブレット端末市場の急激な伸びは、この流行に敏感な層がタブレット端末を購入したからだと考えられる。今後タブレット端末が、この層にしか受け入れられなかった場合、販売台数が減少してしまう可能性がある。市場をより拡大するには、最低でも市場全体の約34%というボリュームゾーンを占めるアーリーマジョリティ(前期追随者)まで取り込む必要があるのだ。

レノボ・ジャパンは、このアーリーマジョリティの攻略策として、若年層をメインターゲットに定めて、積極的にメッセージを送っている。留目専務が「タブレット端末が一般ユーザーまで広がっていないことに危機感を抱いている。そのため、若者が集まる場所に積極的に出て行き、若者をITでサポートすることで取り込んでいきたい」と話す通り、若年層向けの施策を次々と打ち出しているのだ。

●学校教育向けに小中高校生をサポート、季節のイベントも

まず着目したのが、小・中・高校の体育の授業で行っているダンス教育だ。文部科学省の学習指導要領にもとづいて、2011年から小学校で、2012年から中学校、2013年には高校でダンス授業がスタートしているが、学校の現場だけ、つまり体育教師だけでダンスの指導をするのは難しいという課題が浮かんできた。

そこで、日本ストリートダンススタジオ協会(NSSA)と大日本印刷、ユニバーサルミュージック合同の3社は、学校ダンス教育をサポートするプロジェクト「POWER UP プロジェクト」を立ち上げた。このプロジェクトを、レノボ・ジャパンも応援している。

レノボは、2013年11月に発売したAndroidタブレット端末「YOGA TABLET 8」を学校に寄贈。「YOGA TABLET」はスタンドつきの自立するタブレット端末で、片手で持ちながら使えるし、机の上などに立てて置くこともできる。例えば、ダンスの授業中に机などに立てて置き、教材用ダンスムービーを再生しながら振りつけを確認したり、ダンスの練習風景を動画撮影し、その動画を見ながら振りを確認したりできる。さらに、プロのダンスインストラクターを学校に派遣することなどで、現場のダンス教育をサポートした。

また、若者が集まる場所やイベント会場で、タブレット端末の活用提案にも力を入れている。スキーシーズンの3月8~11日の4日間は、新潟県の上越国際スキー場でスノーボード競技イベント「LENOVO PRESENTS SLOPE STYLE」を開催。大会の冠スポンサーとして選手や競技を援助したほか、会場に「Lenovoカフェ」を設けて、温かいコーヒーやお菓子を配布や、「YOGA TABLET」が当たる抽選会を開催。タブレット端末、PCなどレノボ製品のタッチ&トライコーナーで、スノーボードを楽しむ若者に「YOGA TABLET」をアピールした。

ゴールデンウィーク明けの5月18日に開催した音楽フェス「Body&SOUL」には、タブレット端末体験ブース「Lenovo House」をオープン。「YOGA TABLET」のタッチ&トライや、顔や腕に「Lenovo」シールを貼って記念撮影を楽しむフォトシューティング、「YOGA TABLET」が当たる抽選会など、さまざまなコーナーを設置し、フェスという人が集まり盛り上がる場所で、タブレット端末の楽しみ方を提案した。

夏には、7月1日~8月31日の2か月間にわたる長期イベントを実施。若者が多く集まる神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜海水浴場に、海の家「Lenovo House Beach Marche」をオープンした。食事や休憩、着替えなどができるほか、各テーブルに「YOGA TABLET」を配置し、タブレット端末から食事のオーダーや電子書籍の閲覧などができるようにした。

海水浴客だけではなく、海の安全を守るライフガードにも、「YOGA TABLET」を提供した。ライフガードは、これまでファックスなどで風、波、潮汐といった海象情報や、天気、風雨、雷といった気象情報を取り寄せていたが、「YOGA TABLET」を使うことでリアルタイムに情報を収集できるようになり、変わりやすい海の天候に即座に対応できるようになったという。

●最新の「YOGA Tablet 2」が登場、新モデルを使ったイベントは渋谷で開催

「YOGA TABLET 8」の発売から約1年後の10月17日、新モデルの「YOGA Tablet 2」が登場した。キックスタンドを備える自立式を継承しながら、キックスタンド部分の可動域を広げ、さらにフックなどにかけることができるように穴を空けることで、ホールド、チルト、スタンド、ハングの四つのスタイルで利用できるようにした。

この最新のタブレット端末を使った第一弾のイベントとして、10月31日、ハロウィンで盛り上がる渋谷で「Lenovo Presents SHIBUYA HALLOWEEN 2014(シブハロ2014)」を開催。例年、ハロウィンといえば渋谷のクラブなどで仮装した若い男女が集まり、盛り上がりをみせる。イベントでは、渋谷のシンボルともいえるSHIBUYA109や渋谷PARCOで有名人を招いたトークショーや、「YOGA Tablet 2」のタッチ&トライコーナーで、思い思いの仮装をした姿を「YOGA Tablet 2」のカメラで残すことができるようにした。

また、ハロウィンの夜には、渋谷の人気クラブ10店舗とコラボレーションして、各店で実施しているハロウィンパーティの様子を「YOGA Tablet 2」で撮影し、プリントして持ち帰ってもらった。

レノボは、今後も同様のイベントを実施していく。11月29日には、お台場 VenusFortで、ヨガ×音楽×ダンスのイベント「YOGA RAVE(ヨガレイブ)」を開催する。ヨガレイブは、1970年代から始まったヨガと音楽、ダンスを融合させたもの。明るく楽しく健康的に心身のストレスを発散できるとして、近年、若者を中心に人気が高まっている。

レノボは、ヨガインストラクターの西浦莉紗さんやストリートダンサーのTAKAHARUさんらを招き、1時間制で3セッションのヨガレイブを実施。また、全身を3Dスキャンする「YOGA MOJI STUDIO」を設置し、ユーザーの全身を3Dスキャンして3Dキャラクターをつくり、ヨガのポーズで文字を表現する「YOGA MOJI」の体験会を実施する。

若者の活動をサポートする取り組みをレノボが実施して、そろそろ1年。タブレット端末を浸透させるために、レノボが今後どんな策を打ち出すのか、注目したい。(BCN・山下彰子)