写真左より、豊田陽平(サガン鳥栖)、槙野智章(浦和レッズ) (C)J.LEAGUE PHOTOS 写真左より、豊田陽平(サガン鳥栖)、槙野智章(浦和レッズ) (C)J.LEAGUE PHOTOS

この週末、全国各地で緊迫感に包まれた90分間がピッチを支配することだろう。J1リーグ優勝戦線に残留争い、そして『J1昇格プレーオフ』準決勝とそれぞれ立場は違えど、勝利を渇望する気持ちは同じだ。

第32節・ガンバ大阪との大一番に敗れ、ホームでの優勝から一転、勝点2差に詰められた浦和レッズはサガン鳥栖のホームに乗り込む。対戦成績では2勝3敗とする浦和は、対鳥栖は2連敗中で、ベストアメニティスタジアムでは2戦2敗と相性が悪い。ホームで迎えた第2節も、鳥栖のシュート3本に対して17本ものシュートを浴びせながら、豊田陽平に決められ、0-1と敗れた。勝点5差で逆転優勝の可能性を残す鳥栖のモチベーションも高い。浦和は8年ぶりの優勝に値するチームか、昨年終盤1分3敗と優勝戦線から脱落した二の舞となるか、審判が下る。

前節浦和を2-0で下し、11月26日・味の素スタジアムで清水エスパルスを5-2で粉砕し、『天皇杯』決勝進出を決めたG大阪には、神がかり的な勢いがある。『ナビスコ杯』を制し、3冠の可能性を残すチームは、過密日程の疲れを凌駕する精神面での充実を見せる。最終節は最下位の徳島ヴォルティス戦が控える。まずは第33節・ヴィッセル神戸戦で、神戸キラーを発揮する宇佐美貴史の決定力で勝点3を手繰り寄せるのみ。

首位・浦和に勝点4差の3位・鹿島アントラーズは、J1残留争いを強いられているセレッソ大阪の本拠地で勝点3の積み上げを狙う。迎え撃つC大阪は勝点31の17位と降格圏から脱していない。最終節で戦う勝点32・16位の大宮アルディージャは名古屋グランパスとのアウェイ戦に臨む。勝点35・14位のべカルタ仙台は18位の徳島をホームで迎え撃ち、勝点35・15位の清水エスパルスは柏レイソルの本拠で戦う。清水はメンバーを大幅に入れ替え、G大阪との『天皇杯』準決勝に臨んだが、大敗を喫した。第33節に万全を期す決断を下した大榎克己監督の判断が功を奏すか。

中3日で『J1昇格プレーオフ』準決勝が待っているモンテディオ山形の石崎信弘監督は、出場停止を除き、スタメンをいじらず、『天皇杯』準決勝・ジェフ千葉戦に挑んだ。『J1昇格PO』決勝を睨み、メンバーを変えてきた千葉を3-2で倒した。『J1昇格PO』準決勝ではジュビロ磐田がホームの利を生かすか、山形が強行日程と移動のビハインドを跳ね返すか、興味深い。

来週末のJ1リーグ最終節に『J1昇格PO』決勝、そして12月13日(土)の『天皇杯』決勝まで、ヒリヒリした戦いが繰り広げられる。まず11月29日(土)・30日(日)に笑うのは、泣くのは、どこだ。