ローガン・ラーマン

ブラッド・ピット主演の本格戦争アクションとして注目を浴びる『フューリー』。本作で10代の新兵ノーマンを好演しているのがローガン・ラーマンだ。先日、来日を果たした22歳の新鋭に話を聞いた。

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“フューリー(=激しい怒り)”と名付けられた戦車に乗って、ドイツ軍の精鋭300名に立ち向かう小隊の面々を描く本作。彼が演じたノーマンは実戦経験がないまま、ピット演じる鬼軍曹“ウォーダディー”の小隊に所属することになった10代の青年。戦場の現実に戸惑う彼の視線は観客と同じ高さにあり、映画を見た多くの人がノーマンこそが隠れた主人公だと言うのもうなずける。

「戦争を体験するとはどういうものなのか? ノーマンを通じて映画に入り込み、ひとりの若者の人間性がいかに破壊され、兵士となっていくかを目撃してもらえます」。

ピットは来日時の会見で、本作の焦点のひとつとして、日常生活における“正義”と戦場の現実のギャップについて言及したが、ノーマンはまさにそのギャップを体現したキャラクターだ。「戦争の愚かさについてブラッドと話をする機会もありました。彼らは戦争の愚かさを知りつつも、兵士として戦わざるを得ない状況に置かれているんです。僕が演じたノーマンは、ブラッドの演じたウォーダディーとは対立するような部分があり、他の4人とは異なる立場にあって非常に難しい役でした。24時間の物語で彼の変化をどうやって見せるのか? 監督と話し合いながら細かく作り上げていきました」。

これまでに最も影響を受けた映画は10代前半で見たピット主演の『ファイト・クラブ』とミシェル・ゴンドリー監督の『エターナル・サンシャイン』。すでに当時、子役として仕事をしていたが、改めて「映画俳優でありたいと感じた」。だからこそ、今回のピットとの共演には心が躍った。「最も触発される存在です。金のためでなく最高の作品のために動く俳優であり、プロデューサーとしても尊敬しているし、才能にジェラシーを感じます」。

『パーシー・ジャクソン』シリーズのような大作から『ウォール・フラワー』のようなドラマまで22歳にして幅広い役柄を演じるが「本能を信じて、自分のスタンスで仕事をする」のが信条。「決して楽ではないし、楽しくないことだってあるけど、ものすごい充実感を感じています」と俳優こそが“天職”だと力強く語ってくれた。

『フューリー』
11月28日(金) TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

※取材・文:黒豆直樹