左から、三浦奈保子さん、長嶋忠浩事業部長、井沢元彦さん

東芝は、1月26日、7型カラー液晶の電子書籍専用端末「BookPlace(ブックプレイス)DB50」を商品化し、2月10日に発売すると発表した。価格はオープンで、実勢価格は2万2000円前後の見込み。電子ブックストア「BookPlaceストア」への新規会員登録で付与する5000円分の特典を利用すると、1万7000円になる。米アマゾンの7型カラー液晶「キンドル」と同レベルの価格を意識した。「BookPlace」コンテンツは、12年3月末までに約2倍の10万冊に引き上げ、電子書籍ビジネスの強化を図る。

記者会見で、東芝デジタルプロダクツ&サービス社・デジタルプロダクツ&サービス・第一事業部の長嶋忠浩事業部長は、「電子書籍ユーザーはITリテラシーの高い人々が中心で、まだ一般層には普及していない。普及拡大に向けて、コンテンツ数の拡大、端末はより買いやすい価格と使いやすさや読みやすさが課題になっている」と説明。「これらの課題を解決する商品として、専用端末『BookPlace DB50』を投入する」と述べた。

専用端末「BookPlace DB50」の投入によって、「BookPlaceストア」ユーザーの拡大を図る。潜在需要を「月に2冊以上の本を読む人は1500万人いる」(長嶋事業部長)と想定し、すでに対応している「レグザ タブレット」を含めたAndroid搭載タブレット端末やPCでの利用者を含め、「2015年度に、1500万人のうちの10%にあたる150万ユーザーを獲得する」との目標を示した。

「BookPlace DB50」は、幅120.0×高さ190.0×奥行き10.9mmで、重さは文庫本2冊分ほどの330g。バッテリ駆動時間は最大約7.5時間。8GBのフラッシュメモリを内蔵し、小説なら約6000冊、コミックなら約150巻を収納できる。無線LANに対応し、インターネットを通じてコンテンツをダウンロードできるほか、PCサイトも閲覧できる。また、microSDカードスロットを搭載し、デジタルカメラの写真の閲覧にも対応。独自の音声合成技術を用いた読み上げ機能を搭載し、書籍コンテンツを音声で聴くことができるほか、Adobe rederでPDF形式のファイルを読むこともできる。

記者会見には、ゲストとして、作家の井沢元彦さんと東京大学出身の知性派タレント、三浦奈保子さんが登場。井沢さんは、電子書籍について「紙の本への郷愁はあるが、電子化することによって新しい文化が生まれる。図書館に行かなくても古書が探せるようになり、端末に読み上げ機能を搭載すれば、視覚障害者が読書ができる機会が広がると期待している」と述べた。また、「作家は本のなかで暮らしているようなものなので、電子書籍が普及すれば家が広くなる」と、電子書籍のメリットをアピールした。

小さい頃から読書が好きだという三浦さんは、「BookPlace DB50」について、「インターネットにつないでいれば、いつでもどこでも本が買えたり、わからない言葉をすぐに調べたりできる。文庫本2冊分ほどの軽さなので、ずっと持っていても疲れない。文字が拡大できるのも便利。知人や友人に勧めたい」と絶賛した。