アップルが2018年モデルの新しい「MacBook Pro」を発売した。デザイン面で大きな変化はないが、CPUにインテルの新しい第8世代Coreプロセッサを採用し、タスクの処理速度向上を図ったほか、キーボードやディスプレイの刷新など注目すべき点は少なくない。発売されたばかりのMacBook Proのファーストインプレッションをお届けしよう。

iPad ProやiPhone Xでなじみの「True Tone」を初搭載

最新モデルは従来通り13インチと15インチの2サイズ展開。仕上げがスペースグレイとシルバーから選べるほか、13インチモデルのラインアップはTouch IDセンサーを組み込んだTouch Barの有無によっても変わる。

18年モデルはCPUのコア数が増えている。とくに15インチモデルは4コアから6コアとなり、17年モデル比で最大70%の高速化を実現。13インチのTouch Bar搭載モデルはクアッドコアとして最大2倍高速化した。

MacBook Proのパフォーマンスにも深く関わるCPUにメインメモリ、ストレージなどは全てカスタマイズできる。土台の性能が高いマシンに、ユーザーがそれぞれの用途に合ったカスタマイズを加えることで、例えばXcodeによるiOSアプリの開発、4K動画編集や音楽制作、デジタルフォトのレタッチ処理などプロフェッショナルの仕事を力強くバックアップしてくれる。

なお15インチモデルは32GBのメインメモリと、ストレージは最大4TBのSSDがオプションとして選べる。15インチモデルの全ラインアップが採用するDDR4メモリはパワーが必要であるため、本体内蔵バッテリーの容量を上げて17年モデルと同等の連続駆動時間としている。

IPSテクノロジー採用の広視野角Retinaディスプレイは、DCI-P3の広色域再現と500ニットの高輝度が特徴。iPad ProやiPhone X/8/8 Plusにも搭載された、周辺環境の光の種類に合わせてディスプレイの色と明るさを自動で最適化する「True Tone」がMacBook Proにも初めて乗った。

システム環境設定から「ディスプレイ」を選択するとメニューの中に「True Tone」のチェックボックスが新設されている。オンにすると、MacBook Proに内蔵されているアンビエントライトセンサーが呼応して、画面の色合いを自動で最適化する。

Webブラウジングや電子書籍の閲覧を比較的長い時間楽しんだあとは、目が疲れにくくなる実感が得られるはず。デザイナーやフォトグラファー、動画の編集などの仕事でMacBook Proを使うプロフェッショナルは、自身で調整したディスプレイの色合いを基準として固定したままにしたい場合もあるだろう。その際には設定からTure Toneをオフにすればいい。

「Hey Siri」にも対応

筆者が新しいMacBook Proに最も強く惹かれた部分はキーボードの進化だった。筆者は元もとタイピング圧が強く、バタフライ構造のキーボードは跳ね返りが浅いぶん、長時間にわたって原稿を書いていると指先に疲れがたまるような感じがして苦手だった。

新しいMacBook Proはより静かにタイピングができるようにキーボードの構造を見直しているが、ただ静かになっただけでなく打鍵感が格段にソフトになった。これなら長時間のタイピングも楽にこなせそうだ。

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iMac Proにセキュリティ関連機能のコントローラーとして搭載されたアップル独自のセキュリティチップ「Apple T2」が、新しいMacBook Proにも採用されている。Touch IDの精度向上やSSDの暗号化など、セキュリティ面全般のレベルアップが見込めるほか、MacBookシリーズとしては初めて声で音声アシスタントのSiriが起動できる「Hey Siri」にも対応する。

システム環境設定から「Siri」を選択して「Hey Siri」を有効にすると、数件のフレーズを音読してユーザーの声紋を認識させるための“トレーニング”が始まる。設定を完了すると声によるSiriのハンズフリー操作が可能になる。MacBook Proのフタを締めるとHey Siriもスリープモードに切り替わるので安心だ。

筆者は長らく仕事にMacBook Airを使っているが、新しいMacBook Proを触ってみてキーボードに安定感に強く物欲を刺激された。そろそろ真剣に買い替えを検討してもよさそうだ。確かに高価なパソコンではあるが、仕事環境を劇的に改善してくれそうな魅力と実力を備えていると思う。(フリーライター・山本 敦)