みなさん「婚前契約」って聞いたことがありますか? 最近、ある女優さんが「婚前契約」を結び、結婚、そして離婚したと話題になりましたが、婚前契約とは何かを知ることで、将来の自分の生活を守ることができるかもしれないのです。

今回は、アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士に「婚前契約」について教えて頂きました。

 

 日本人にはなじまない? “婚前契約”と“夫婦財産契約”

婚前契約というと、ハリウッドのセレブが、資産を守るために結ぶものというイメージがありますが、主にお金に関して取り決めをするのでしょうか?

「日本には、財産に関する夫婦間の取り決めについては“夫婦財産契約”というものがあります。これは、登記することで第三者にも対抗できる制度ですが、10年間の登記数が全国で43件と非常に少なく、ほとんど使われていません。
婚前契約は、財産についても決められますが、家事の分担など、何でも取り決めることができます。ただ、やはり印象としては、日本で婚前契約をしている夫婦はそんなに多くないと感じています」

その理由について篠田弁護士は、

「婚前契約も夫婦財産契約も、基本的には離婚を前提にした契約です。これから結婚するという相手への気持ちが高まっている状況で、離婚を想定して契約するという感覚は、日本人には馴染まないようです。
外国では比較的使われていると言われる婚前契約が、日本の夫婦間では少ないのは、日本人の、人の好さを表していると言えますね」

確かに、日本で、結婚生活や離婚した時について契約をするというのははばかられそうです。でも、この人の好さが、いざ離婚となった場合に、ドロドロの離婚劇を繰り広げる原因になっているかもしれません…。
 

それでも“婚前契約”をしておくべき理由

「実際に離婚するとなると、財産については相当、大揉めに揉めますね。そうなると、夫婦財産契約や婚前契約をしておけばよかったということはあります」

離婚するなら、双方、少しでも自分にいい条件で別れたいもの。奪い合いになることは想像できます。

「夫婦であっても、財産に関しては取り決めておいたほうが賢明だ、という印象はあります」

泥沼化した離婚劇や、離婚時の修羅場を実際に目にしてきた篠田弁護士の言葉は重たいですね。離婚時に揉めないためにも、普通の夫婦であっても取り決めをしておくメリットは多そうです。

「結婚するときに、離婚した場合について、二人だけで決めるのは難しいかと思います。弁護士など、第三者に相談するのもひとつの方法です」

第三者が入ることで、お互いに納得できる契約ができるのかもしれません。