床拭きロボット ブラーバ 380j

ロボット掃除機「ルンバ」で知られる米アイロボットが発売した床拭きロボット「ブラーバ 380j」をお借りし、自宅などで使ってみた。「ルンバ」は自動でゴミを吸引する「掃除機」なので、動作音が大きい。対して「ブラーバ」は、自動で床を拭く「拭き掃除機」なので、動作音は小さく、振動もほとんどない。時間帯を問わず気軽に使える便利で新しい時短家電だ。

●面倒な床の拭き掃除を自動化 事前に準備すればおまかせでOK!

「ブラーバ」は、米国で2013年8月に発売。日本では、日本仕様のオリジナルモデル「ブラーバ 380j」を今年7月に「アイロボットストア公式サイト」限定で発売したところ大人気。一時は在庫切れ・入荷未定の状態になったが、今は販売を再開している。日本総代理店のセールス・オンデマンドの広報によると、まずは直販限定で反応をみて、将来は家電量販店で販売する計画もあるそうだ。11月30日時点の直販サイトでの税別価格は3万6000円。

さて、この「ブラーバ 380j」、動作のイメージはロボット掃除機の代名詞「ルンバ」とほぼ同じ。スイッチを入れれば、自動で床を拭いてきれいにする。ゴミを吸引する「掃除機」ではないので、別途ロボット掃除機や普通の掃除機を使って部屋をきれいにしてから使わなければならない。大きなゴミや食べカスなどの硬いゴミが残った状態で「ブラーバ」を使うと、ゴミを引きずってしまい、床が傷ついたり、「ブラーバ」本体が故障したりする可能性があるので、事前の掃除機がけは必須だ。

自動でフローリングやクッションフロアなどの硬い床を水拭きする「ウェットモード」と、から拭きする「ドライモード」の二つのモードを搭載し、それぞれのモード専用の拭き布(クロス)が付属する。最大の売りは、皮脂汚れや食べこぼしのあと、花粉、ハウスダストなども拭き取るという「水拭き」。水拭き用のウェットクリーニングパッドのタンクに水を入れ、水色の専用ウェットクロスをセットしてウェットモードボタンを押すと、自動で水拭きする。

もう一つの「ドライモード」は、付属のドライクロスに加え、市販の使い捨てクリーニングシートを装着しても使える。実際に使ったところ、から拭きだとクロスにかなりホコリが付着するので、使い捨てシートを使ったほうが手間がかからず便利だ。今回は試さなかったが、市販のワックスシートを装着すれば、ワックスも自動でかけられるそうだ。

●拭き掃除オンリーなので動作音は静か 頻繁に使えば部屋はいつもきれい

自宅は、洗面室やトイレを除いて、床部分はすべてフローリング。これまでは普通の掃除機で掃除するだけで、水拭きは、水や液体を床に落としてしまったときや、目立った汚れに気づいたときなど、たまにしか行っていなかった。今回お借りした「ブラーバ」を使って、ワックスがけを行うためではなく、日常の清掃として、水拭きを行い、意外に汚れていたことに気づいた。さらに、市販の使い捨てクリーニングシートを装着して、ほぼ毎日から拭きすると、毎回、ホコリや髪の毛が付着していた。つまり、気づかないだけで、部屋は汚れていたのだ。「ブラーバ」による掃除完了後は床がきれいになり、気分がよくなる。ロボット掃除機と違ってモーター動作部がないので、運転音は静か(図書館内と同じレベル)で、夜中でも気兼ねなく利用でき、メンテナンスも「ルンバ」ほど面倒ではない。「ブラーバ」を使うため、床にモノをなるべく置かないなど、部屋を常に整理整頓しておくクセもついて、一石二鳥だ。

使い方を簡単に説明しよう。掃除したい範囲のなるべく中央に、赤外線を照射して「ブラーバ」に位置を知らせる「NorthStartキューブ」を置き、クリーニングパットとクロスを取りつけた「ブラーバ」のボタン(電源ボタンと各モードのボタン)を押す。本体に搭載する各種センサの働きで部屋の形状や家具の配置などを把握・記憶し、ブラーバ自身が部屋のどこを掃除しているか、次にどこを掃除すればいいか、自動的に判断して動き回って清掃する。水拭きの「ウェットモード」とから拭きの「ドライモード」では動き方が異なり、用途に合わせて最適化している。大きな段差はもちろん、高さ約3mm以上の小さい段差も感知して回避し、テーブルや椅子の下にも潜り込んで拭く。部屋全体の清掃が完了するとメロディ音が鳴り、スタート地点に自動的に戻って停止する。「ブラーバ 380j」に1個付属する「NorthStartキューブ」は、なくても使えるが、使えばより正確に動作するという。

電源は内蔵バッテリで、「ルンバ」のように自動充電機能はないが、水拭きの場合、使用後にクロスを取り外す必要があるので、あえて充電までは自動化しなかったそうだ。充電の方法と、水拭き/から拭きではセットするクリーニングパッドとクロスが異なるということさえ把握すれば、簡単に使えるだろう。

自動化のデメリットは、ほとんど感じなかった。ただし、ロボット掃除機同様、正常に使い続けるためには、本体のメンテナンスが不可欠。これが面倒だと感じる人もいるだろう。また、内蔵バッテリの耐用年数が約1年半と短く、クロスも傷んできたら交換する必要があるので、コストパフォーマンスという点では、まだ改善の余地はある。すでにかなりの完成度だが、今後の進化に期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)