まわりの目とか、評価とか、気にしたくないけど、やっぱり気にしちゃう

『好きっていいなよ。』がここまで観るものの共感を集めたのは、現実にはなかなか起こりえない“胸キュンシチュエーション”への憧れだけではなく、ひとが生きるうえで出会う些細な戸惑いや喜びを、ていねいに掬い取っているからだと思う。

例えば、ついにモテモテの大和の彼女になっためいが、大和と自分のギャップに悩むシーン。まわりから見たら、大和と自分は釣り合っていないんじゃないか――。めいのような思春期をとっくに過ぎた自分のような人間でも、周囲の目を気にしてしまうことはしょっちゅうだ。川口さんが選んだ役者という仕事も、とかくイメージや結果で語られてしまう職業である。

「やっぱり気にしますね。まわりの目とか、評価とか、自分のことをどう思っているかとか。気にしたくないけど、やっぱり気にしちゃうし。それがあって普通じゃないかと思います。

でも自分が満足できること、自分で自分のことをよくやったなと褒めてあげられたら、それはそれでいいし。自分自身の気持ちで満足できていたら、それはそれでいいんじゃないかなって。

今回の『好きっていいなよ。』は、自信を持っていいものを作れたとは言えるけど、自分自身満足しているわけではないので、まだまだだなって。でも、褒めてあげることはできないけど、そのときにできる精いっぱいのことはやれたので、がんばれたかなって思います」

実直と言ってもいいほど、自分を冷静に見つめているひとなのだ。「根は素直だと思うんですけど、強がったり、弱いとこを見られたくないっていうのはあるかも。もっと素直に生きたいなって思いますね」。そんなふうに想う川口さんだからこそ、繊細で多面的なめい役をこれほどの精度で演じ切れたのだろう。

2014年の夏を大いに盛り上げた『好きっていいなよ。』。本格的な冬を迎えるいま、川口さん演じるめいのひたむきに成長しようとする姿に、ふたたびキュンキュンしてみてはいかがだろうか。
 

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発売元:講談社 販売元:松竹
©葉月かなえ/講談社 ©2014「好きっていいなよ。」製作委員会