時代を反映した受験マンガも格闘編のダークサイドに陥る

『とどろけ!一番』のむらしんぼ

『とどろけ!一番』のむらしんぼ

■ここが超展開!
新境地の超絶試験戦士マンガ→よくある格闘マンガ

最後に紹介するのも古い作品ですが、いつの時代にも何らかのカタチで存在する受験マンガのひとつ『とどろけ!一番』です。大日本進学塾に入塾した轟一番が、中学受験を目指す過程でさまざまなライバルたちと文字通り受験戦争を繰り広げる、超絶格闘試験戦士マンガ。

書いても書いてもすり減らないという幻の鉛筆「四菱ハイユニ」を両手に2本持ち同時に別々の問題を解く「答案二枚返し」や、目に見えないほどすばやく手を動かす「ゴッドハンド」などの秘技を駆使して、ライバルたちを(実際に)なぎ倒し、日々の模試にまい進します。その特徴的なライバルたちや、秘技の数々は、同じコロコロコミックで連載された『ゲームセンターあらし』とよく似たテイストでした。

 

『とどろけ!一番』 コミック2巻の表紙。握りしめた四菱ハイユニも力強い、立派な試験戦士です。

ところが、代々拳闘家だったという自分の出生の秘密を知ると、これまで命をかけてきた試験戦士の肩書きをあっさりと捨て、ボクシングで一番になると言い始めます。試験戦士マンガという独自性を失ってしまった『とどろけ!一番』は、一般的な格闘マンガになり、その後短期間で打ち切りとなってしまいました。

当時から、ネタに詰まると格闘編というダークサイドに落ちるパターンは存在してしたようです。あれだけがんばって受験勉強したのに、希望の開布中学にも入学できなかったし、子どもにいろいろ考えさせてしまいそうな作品になったかもしれません。

 

『とどろけ!一番』 コミック6巻の表紙。ボクシング選手となりました。はちまきに差した四菱ハイユニが試験戦士時代のなごり。