80年代にエンターテインメント性溢れるステージで絶大な支持を集めた米米CLUBのフロントマン、石井竜也が大阪・新歌舞伎座で初座長公演「石井竜也コンサートツアー2018-陣JIN-」を開催する。原案・音楽・美術を手掛ける主演作について石井は「今までにない舞台をお見せしたい」と合同取材で意気込みを語った。舞台は芝居とコンサートの2部構成。1部エンターテインメントパフォーマンスステージ「将軍たちの午後」は西暦2120年の龍ノ国(日本)が舞台。鎖国体制の中、国土は7人の将軍により分断されていた。しかしこの日、隣国からの侵略を考慮して数十年ぶりに“七将会議”が開かれることに…。石井は現在の北海道を治める「龍頭の国」の将軍役。大殿として一目置かれる存在だ。

「石井竜也コンサートツアー2018 -陣JIN-」チケット情報

「将軍が丸腰で向き合えば、教科書では分からない赤裸々な人間模様が描けるのではないかと思ったのが始まり。僕も大殿とはいえ、いつ力関係が変わるか分からない。小競り合いを続けながらも猥談では一致団結したり、男のバカさ加減も出てきます。少し過激な落語と思って貰えれば」。娘を政略結婚させる戦略家、「女性票が得られない」と嘆く政治家風情、「お控えなすってい」が口癖の強面まで。石井は七将軍の個性を際立たせるため、甲冑デザインにも苦心したと明かす。「例えば科学に注力する国の将軍は全体にスチームパンクな雰囲気にしたり。現代の若者が見てもカッコいいと思えるデザインにしつつ、甲冑としてのイメージも忘れない。細部まで非常にこだわった作りなので、オペラグラス持参で楽しんで」

2部のプレミアムコンサート「天龍降臨」は“和テイスト”がテーマの3枚組の新譜『龍』に収録された全39曲から、一部を日替わりでお届けする。中でも、舞台主題歌の『神器』『陣太鼓』、米米時代の名曲『浪漫飛行』『君がいるだけで』の4曲は漏れなく披露する。「ポップロックな雰囲気の中、全体に和を感じさせる“和ポップス”は、ありそうでなかったジャンルの曲。何かしながらでも聴いていて気持ちが良いですし、オーケストラでも演奏できるカッコ良さや深みもある。創作しながら『俺って天才だな…』って何度も呟きました(笑)」

米同時多発テロを機に2002年からはアートを通した被災者支援にも積極的な石井。東日本大震災以降は必然的に「日本で生きる、日本を愛する」というテーマが芽生えたという。「例えば今、薬師寺が国宝・東塔を解体修理中ですが、そこで分かったのは数百年後の木の反りまで考えて建材が組まれていたということ。当時の宮大工の凄みですよね。日本人には、異文化を日本風に変換する頭脳明晰さや、自然信仰に根付いた誇るべき感性や繊細さがある。だからこそ長い歴史の中で、独自の文化を継承できたのだと思う。僕がこの舞台で一番伝えたいのは、日本は凄く良い国で、日本人は凄くカッコいいよ!という事だと思います」

公演は、8月4日(土)から19日(日)まで大阪・新歌舞伎座にて上演。チケットは発売中。

取材・文:石橋法子