これからあんずのジェラートを作るところだというので、見せてもらった。

「信州産のハーコットというあんずを使っています。栄養価の高い皮は剥かず、種を取り除いたものを、そのままジェラートに加工します」(武山さん)

ふつうのあんずと、ハーコットを比べると、ハーコットはふつうのあんずよりもふたまわり以上大きい。

種を取り除き、北海道産のてんさい糖と一緒に切り分けたあんずを鍋に移す。15分ほど煮たらミキサーにかけ、少量の水とアガベシロップを加える。それをイタリア製ジェラートマシーンにかれば完成。

 

 

「一般的にアイスクリームにはグラニュー糖を使います。でも、うちではくどくない甘さに仕上げたいので、アガベシロップとてんさい糖を選びました」(武山さん)

アガベシロップは多肉植物の一種のアカベの根茎を加工したもの。醗酵させたのが、テキーラだ。

一見ハチミツだが、ハチミツよりもねっとり感が少なく、かなり甘い。血糖値が気になる世代としては、ジェラートを食べるべきではないのかもしれない。

「と思われるかもしれませんが、ご安心ください(笑)。アガベシロップの甘さは砂糖の約1.3倍ですが、アガベシロップのGI値はリンゴよりも低いんです」(武山さん)

食後血糖値の上昇を示す指数が、GI(グリセミック・インデックス)だ。糖尿病予防のために、低GI食品の摂取が提唱されている。

健康に配慮して、ファンアイスでは、アガベシロップとてんさい糖を使っているというのだ。

「加糖こそしていますが、人工的な香料も着色料も安定剤も乳化剤もいっさい使っていません」(武山さん)

なつめこそ初体験だったが、あんずも、ブルーベリーも、パッションフルーツも、フルーツそのものの味がするジェラートだった。

「うちの果物のジェラートは、使用する果汁の比率が高いんです。だから口に入れた瞬間、フルーツの味がすると思います」(太田さん)

八王子にある磯沼ミルクファーム産の牛乳をふんだんに使ったジェラートもある。プレミアムミルクジェラートだ。

プレミアム・ミルク

牛乳というと、ホルスタインが一般的。ところが、プレミアムミルクジェラートは、ホルスタインだけでなく、ジャージー、ブラウンスイス、エアシャー、ガンジーという5種類の牛乳をブレンド。複雑で、奥深い味わいのジェラートに仕上げている。

「磯沼ミルクファームをはじめ、果物をわけていただく地方の農家もでき限り、お目にかかり、話をさせていただくことにしています」(武山さん)

どんな思いで作物を育てているのか、作り手の顔が見えるジェラートを提供したいと考えているからだ。

「じつは、夫は高齢者の福祉に関する仕事もしていました。外出できない人、固形物が食べられない人にもジェラートを味わってほしい、という思いもあります」(太田さん)

ジェラートは若い人はもちろん、咀嚼ができない人でも愉しんでもらえるし、そしてなによりも栄養補給にもなる。

「冷凍もののフルーツは使いません。フルーツに旬があるように、ジェラートにも旬があります。加糖のみの、色とりどりのジェラートは、あらゆる世代の方に愛していただけると思っています」(太田さん)

8月発売予定で、スイカとパイナップルのジェラートを開発中。太田さんがグリーンスムージー好きなこともあり、目下、野菜とフルーツのグリーンスムージー・ジェラート作りにも取り組んでいるそうだ。

ギフト用のパッケージも現在考案中。7月末に完成予定。

美味しいだけでなく、健康にも配慮した四季折々のジェラート。舌だけでなく、目も愉しませてくれるはずだ。

オリーブオイルのジェラートも作ってほしい。太田さんと武山さんが提案するオリーブのジェラートをぜひ食べてみたい。期待してます。

fun.ice!
住所/東京都渋谷区代々木5-64-4
電話/080-4342-1522
営業/11:00~19:00*季節により変更あり。要確認。
定休日/月曜

ジェラートはカップのみ。シングル400円、ダブル500円、トリプル700円。
プレミアムフレーバーはシングル+100円、ダブルとトリプルは+50円。すべて税別。

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。