ポップで深淵な大作に、仲村トオルが再び挑む

2014.12.12 19:10配信
仲村トオル  撮影:源賀津己 仲村トオル  撮影:源賀津己

俳優の躍動的な身体と華やかな音楽に魅せられるうちに、場面はスッと移り変わり、現代にも繋がるズシリとしたテーマが現れる……。そんな2012年のNODA・MAP作品『エッグ』が、パリ公演決定を受け、豪華初演メンバーで国内でも再演される。

NODA・MAP第19回公演『エッグ』チケット情報

「怖いですよ。同じキャストでの再演だけに、たとえば“妻夫木くん成長してるな”とか“深津さん進化したな”とか、“あれ? 俺、衰えた?”といったことが、クリアに見えるだろうから(苦笑)」と話すのは、粒来幸吉役の仲村トオル。そう思うのも無理はない。なにせ初演では、鍛え上げた見事なボディで、架空のスポーツ“エッグ”でオリンピックを目指す一流アスリートを演じ切ったのだから。「自分の衰えを最も感じやすいのが身体的な表現。本番中にどれだけ激しく動いたかを知っている身としては、ああ、また頑張って準備しなくては……という感じです」

物語は“エッグ”のベテラン選手・粒来と新人選手の阿倍比羅夫(妻夫木)、そして人気歌手・苺イチエ(深津)を軸に進む。そこで浮き彫りになるのは、スポーツと歌が持つナショナリズムや大衆の扇動性。さらに入れ子構造を大胆に使った展開で、戦中のある場所を舞台とした日本近現代史の暗部へと斬り込んで行く……。

「僕自身、完成台本を読むまで、こんな展開になるとは想像もしませんでした。時間も空間も飛び超えて、もの凄いスピードで、もの凄い情報量のことが表現されているところが、『エッグ』の魅力だと思います」と仲村。

粒来が“ある実験”の証拠書類を改ざんする場面での“音”が印象的だと言う彼は「鉄のペンを使った後、机をペイパーウェイトで検閲済みの判のように叩くアイディアは、ある日の本番中に思い付きました。そういった発見が公演中も結構ありましたね」と振り返る。

さらに踏み込んでアプローチできる再演でも、新たな発見がありそう。「そこが再演の面白さですよね。ただ“あ、そうか”と気付く瞬間は、“なんで初演の時に気付かなかったんだ”と思う瞬間でもある(苦笑)」と彼は言うが、それは自身の成長を証明する瞬間でもあるはずだ。

ストイックな粒来さながらに、「この2年を自分は無駄にしなかったと感じられるようにしなければ」と実直さを滲ませる仲村。「パリ公演も不安ですが、もしも向こうで“だいたい伝わったみたいだぞ”と感じられる瞬間があったとしたら、それは大きな感動だし、楽しみなことですね」

公演は、2015年2月3日(火)から22日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、2015年3月26日(木)から4月8日(水)まで大阪・シアターBRAVA!、2015年4月16日(木)から19日(日)まで福岡・北九州芸術劇場 大ホールにて。チケットは12月13日(土)より一般発売開始。

取材・文/岡崎 香

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