増えるハイレゾ対応の携帯オーディオ、市場をけん引するソニーの「ウォークマン Aシリーズ」

2014.12.19 20:16配信

年末年始は携帯オーディオの商戦期だ。ボーナス需要を始め、クリスマスのプレゼント需要、年が明ければお年玉需要があって、例年販売台数が伸びる。今年の携帯オーディオ商戦は、「ハイレゾ」が重要なキーワードになりそうだ。

●原音に近い高解像度の音源データ「ハイレゾ」 急激に普及

ハイレゾリューションオーディオ(ハイレゾ)は、CDよりも高解像度の音源データを指す。圧縮音源といえばMP3がよく知られているが、CDの音源も実は圧縮されている。録音スタジオで収録した原音(マスター)はデータ量が多く、そのままではCDに収録することができないのだ。しかし、データを圧縮するときは、どうしても小さな音や高音域の音がカットされてしまう。

ハイレゾ音源は、音楽CDの約3倍の情報量をもつ96kHz/24bitや、約6.5倍の情報量をもつ192kHz/24bitなど、CD音源よりも情報量が多い。つまり、より原音に近いといえる。

このハイレゾが、いまオーディオユーザーの注目を集めている。ハイレゾを楽しむには、当然ハイレゾ音源と対応再生機器が必要。ハイレゾ音源はダウンロード販売が主流で、配信サイトやコンテンツが増えている。楽曲のジャンルもクラシックやジャズだけではなく、J-POPも増えていて、親しみのある曲を高音質で楽しむことができる。また、アンプやプレーヤーなどの対応機器も増えている。

じわじわと拡大しているハイレゾ市場。携帯オーディオ市場にも、その波がやってきている。家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で、直近の2014年11月と、1年前の13年11月のハイレゾ対応モデルの構成比を比べた。2013年11月のハイレゾ対応モデルの構成比は、台数ベースで7.3%、金額ベースで15.0%だった。

一方、14年11月は、台数ベースで17.2%、金額ベースで28.0%と大幅にアップ。特にハイレゾ対応モデルは、非対応モデルと比べて5000~1万円ほど価格が高いので、金額シェアの伸び率に影響を与え、1年間で13ポイントアップという著しい成長をみせた。

付加価値の高いハイレゾ対応モデルだが、各社の取り組みはどうだろうか。MP3プレーヤーなどを含む携帯オーディオ市場全体の14年11月のメーカー別販売台数シェアは、ソニーが51.7%、アップルが40.9%と、2社で市場を分け合っている。では、このなかのハイレゾ市場はどうなっているのか。

ソニーは、13年10月に初のハイレゾ対応携帯オーディオ「ウォークマン NW-F880シリーズ」を発売し、12月にはフラグシップモデル「NW-ZX1」を投入した。また、携帯オーディオに限らず、オーディオ機器全般でハイレゾ対応モデルのラインアップ数を増やし、高音質需要の喚起に力を入れている。

携帯オーディオ市場2位のアップルは、14年11月時点ではハイレゾ対応モデルを発売していない。代わりにハイレゾ対応モデルを市場に投入しているのが、ヒビノやアイリバーといったオーディオメーカーだ。とはいえ、市場でみるとソニーの影響力が大きく、ハイレゾ対応モデルに絞ったメーカー別販売台数シェアは、ソニーが98.7%と独占状態。「ハイレゾ対応携帯オーディオといえば『ウォークマン』」というイメージが定着している。

●垂直立ち上げを見せた「ウォークマン Aシリーズ」

では、ハイレゾ対応モデルはどの程度売れているのだろうか。11月の携帯オーディオの機種別ランキングでは、ソニーのハイレゾ対応モデル「ウォークマン Aシリーズ」のブラックモデル「NW-A16(B)」が1位だった。11月8日に発売した「NW-A16」は人気が高く、3位にシルバーモデル、6位にブルーモデル、9位にローズピンクモデルと、カラーバリエーションがすべてトップ10に入った。カラーバリエーションを合算すると「NW-A16」のシェアは10%を超え、超人気モデルだということがわかる。

「ウォークマン Aシリーズ」には、内蔵メモリ容量が64GBの「NW-A17」と32GBの「NW-A16」の2モデルがある。カラーバリエーションは、「NW-A17」がブラックとシルバーの2色で、「NW-A16」は先述の4色で展開する。

この「ウォークマン Aシリーズ」は、手頃な価格のハイレゾ対応モデルとして発売直後から販売台数を伸ばし、一部の販売店では在庫切れが起きた。

「ウォークマン Aシリーズ」の売れ行きは、携帯オーディオ市場にどのような影響をもたらしたのかをみるために、週単位でメーカー別販売台数シェアを追った。これまでソニーとアップルは、抜きつ抜かれつを繰り返しながら推移してきたが、「ウォークマン Aシリーズ」の発売日を含む11月第1週の台数シェアは、前週の45.7%から10ポイントアップの57.6%となり、一気にアップルを引き離した。

その後、ソニーのシェアは緩やかに下降したものの、「ウォークマン Aシリーズ」の在庫を確保した12月第1週には、再びシェアを伸ばし、アップルとの差を10ポイントほどに広げた。ボーナス需要は始まっているが、プレゼント、お年玉需要はこれからが本番。「ウォークマン Aシリーズ」の健闘によって、ソニーとアップルとのシェア差が今後どうなるか注目したい。

●ハイレゾ対応プレーヤーとして世界最小・最軽量

携帯オーディオ市場に大きな影響を及ぼしている「ウォークマン Aシリーズ」の、人気の秘密はどこにあるのか。「ウォークマン Aシリーズ」は、ハイレゾ対応モデルでありながら、横幅約43.6mm、高さ約109.0mm、厚さ約8.7mm、重さ約66gと、ハイレゾに対応したデジタルミュージックプレーヤーとしては、世界最小・最軽量のコンパクトボディ。

ハイレゾ対応モデルとしてはコンパクトな「ウォークマン Aシリーズ」だが、音質面は一切犠牲にしていない。アンプは独自開発したフルデジタルアンプをさらにハイレゾ音源用に最適化した「S-Master HX」を搭載。ハイレゾ音源を忠実に再現し、繊細で力強いサウンドが体感できる。また、「S-Master HX」の電圧を高める電子回路であるチャージポンプ電源に、従来のセラミックコンデンサではなく、低音から高音まで安定してノイズの少ない良質な電力を供給する「POSCAP」を採用した。フラグシップモデル「ZX1」でも採用しているコンデンサで、ノイズが少なく透明感のある音質を実現する。

なお、「ウォークマン Aシリーズ」付属のイヤホンはハイレゾに対応していないので、本格的にハイレゾのいい音を楽しみたい人は、ハイレゾ対応のヘッドホンを手に入れる必要がある。ソニーでは「MDR-1A」や「XBA-A2」がハイレゾ対応ヘッドホンだ。

ハイレゾ対応モデルとはいえ、CD音源やMP3などの圧縮音源を再生する機会も多いだろう。圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケールする音質向上技術として「DSEE HX」を採用し、ふだん聞き慣れた楽曲を手軽に高音質で楽しむことができるのも魅力だ。

よい音をつくり出すのは、アンプや高音質技術だけではない。「ウォークマン Aシリーズ」はケーブルや基板、本体フレームなどにも選び抜いたパーツを採用し、ものづくりに徹底的にこだわっている。例えば電源部のケーブルは、通常よりも断面積が1.5倍あるものを採用。抵抗が低く、力強く重厚な低音を楽しむことができる。

プリント基板は、ハイレゾ対応ポータブルヘッドホンアンプ「PHA-2」と同様の技術手法を採用し、従来品の約2倍の厚さをもつ厚膜銅箔プリント基板を使用。伝導率がよく、安定した電源を供給し、ボーカルの定位の向上や、広々とした空間表現、濁りのない音色を再現する。

ソニーのこだわりは、細かい部分にまで及ぶ。部品の接続部分には、ハイエンドオーディオで使用している独自開発の高純度無鉛高音質ハンダを使用。純度99.99%以上の超高純度のスズに、微量元素を最適の比率で配合したハンダで、伝送効率が高く、低域・中域・高域の音を自然なバランスで再生する。

携帯オーディオの生命線ともいえるスタミナ性能にも力が入っている。MP3再生で約50時間(MP3 128kbpsモード時)、ハイレゾ再生で約30時間(FLAC 192kHz/24ビットモード時)。これなら2~3日充電しなくても大丈夫そうだ。さらに、「おすそわけ充電機能」で、別売のケーブルを使ってスマートフォンなどに給電できるので、モバイルバッテリとしても活躍する。

データ容量の大きいハイレゾ音源を保存すると、内蔵メモリがいっぱいになってしまうこともある。「ウォークマン Aシリーズ」は、microSDカードスロットを備え、データの保存容量を増やすことができる。内蔵メモリとmicroSDメモリーカード内の楽曲をまとめて管理するので、メモリの違いを意識せずに、アルバム名/アーティスト名/ジャンルなどで検索ができ、使い勝手がいい。

ちょっとリッチなプレゼントにも、1年間頑張った自分へのごほうびにもぴったりなハイレゾ対応の「ウォークマン Aシリーズ」。ハイレゾに興味のある音にこだわるユーザーにもお勧めだ。まずは店頭でその音のよさ、コンパクトさを確かめてはいかがだろうか。(BCN・山下彰子)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

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