オマール・シーとオリヴィエ・ナカシュ監督

『最強のふたり』のオリヴィエ・ナカシュ監督と主演のオマール・シーが、ヒロインにシャルロット・ゲンズブールを迎えた最新作『サンバ』を引っ提げて来日。オリヴィエ監督&エリック・トレダノ監督作へ、短編を含めこれが5本目の出演となるオマールは、本作の企画段階から参加。オリヴィエ監督とオマールが『サンバ』に込めた想いを語った。

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本作でのオマールは印象的な“笑顔”だけでなく、“怒り”や“後悔”など、さまざまな顔を見せる。演じたのはフランスへ来て10年の移民サンバ。ビザを失ったサンバは、シャルロット扮する燃え尽き症候群の女性アリスと出会う。

監督は言う。「背景には移民問題がありますが、これはヒューマンドラマ。『最強のふたり』と同様、他人同士が出会って歩み寄れば、希望が生まれることを描きたかった。さらに今回は男女のストーリーでもあります」。そしてオマールとシャルロットを起用してよかったと特に感じたシーンを挙げた。「ガソリンスタンドの中でサンバとアリスが会話をしている5分間ほどの場面があります。ふたりがただぽつぽつと話している何も起こらないシーンにこそ、オマールとシャルロットでよかったと強く感じましたね」。

オマールは「サンバは生き延びるためだけに仕事を続けるなかで、アリスは仕事をしすぎて、自分が分らなくなった。理由は違うけれど、共に仕事によって自分を見失ったふたりが出会うことによって自分のポジションが照らされて見えてくる」と解説。そして「アイデンティティは変わっていくものですが、こうした出会いによって取り戻せることもあるのは感動的です。それに、出会いが人生を変える力を持つことについては、僕自身がオリヴィエ監督とエリック監督との出会いで経験しているので、心から信じられるんです」と微笑んだ。

本編ラスト手前、サンバがアリスにある思いを打ち明ける。これを受けてのアリスの言葉が、自分を想う人が隣にいることの強さを伝え、心を打つ。

『サンバ』
12月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

取材・文・写真:望月ふみ