MNO事業の設備投資額は当初想定していた6000億円を下回る見込みと語る楽天の山田善久副社長執行役員

楽天が8月6日に開いた2018年12月期第2四半期決算発表会で、山田善久副社長執行役員は「MNO(携帯通信)事業への設備投資金額は当初想定していた6000億円を下回る見込み」と話した。第4のキャリアとして通信サービスの開始を19年10月に予定している。

まったく違う構造で通信網がつくれる

設備投資額が当初よりも安くなる経緯については、「タイミングがきた際に詳細を発表するす」と説明。そのうえで、「新しいネットワークのつくる方法をとり入れた。過去の遺産がないメリットを生かして、他社とはまったく違う構造で通信網がつくれる」と、設備投資額が下回っても十分な通信サービスの提供が可能であることを示唆した。

なお、2018年12月期第2四半期の決算は、売上高が5121億6100万円前年同期比16.4%増)、営業利益が896億7000万円(同30.7%増)、四半期利益(親会社の所有者に帰属)が645億2200万円(60.0%増)と、大幅な増益になった。

国内ECは、配送業者による物流制限の影響とC2Cビジネスへの投資を進めた影響で営業利益が減少したものの、「ワンデリバリー」戦略で顧客満足度の向上や新規ユーザーの獲得を実現していくという。

ワンデリバリーは、ユーザーが欲しいものを一度に受け取れる仕組みや、楽天に出店している店舗が注文から配送までを通しで対応できるよう、楽天が物流を一元管理する仕組みを整えるということ。MNO事業や、FinTech事業の「決済」と並んで力を入れている分野だ。

会社分割による組織再編

注力分野が多角化していることから、楽天は同日、新グループ体制への移行を発表した。インターネット・サービス事業を担う楽天イーコマース(仮称)を設置するほか、FinTech事業を楽天カードに、MVNO事業などの通信事業を楽天モバイルネットワークの傘下につける。

それぞれの事業が迅速な意思決定を可能にする枠組みをつくり、ID、ポイント、ブランドを活用した楽天エコシステム(経済圏)の拡大を進める方針。現在4兆円のメンバーシップバリューを、将来的には10兆円に増やすという。来年の4月に新体制になる。