『ビッグ・アイズ』(C)Big Eyes SPV. LLC

ティム・バートン監督の最新作『ビッグ・アイズ』で名優クリストフ・ヴァルツが強烈な演技を披露し、本年度の映画賞レースでも大きな注目を集めている。本作でヴァルツが演じたのはモダンアート界に大きな影響を与えた画家ウォルター・キーン。しかし、ウォルターは実際には絵をまったく描けない男だった。

その他の画像

ヴァルツはオーストリアのウィーンで生まれ育った俳優。クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』でランダ大佐役を演じて注目を集め、アカデミー助演男優賞を受賞。その後も『ジャンゴ 繋がれざる者」で再びオスカーを手にし、“007”シリーズの最新作『SPECTRE』に出演することも決定している。

そんなヴァルツは『ビッグ・アイズ』で実在の人物ウォルター・キーンを演じた。ウォルターは妻のマーガレットが描く絵画“ビッグ・アイズ”シリーズを「自分が描いた」とウソをつき、巧みな話術で人々をダマしてはのしあがっていく。常にハイテンションで自説をまくしたて、都合が悪くなると言い訳してその場を切り抜け、妻のマーガレットを言葉巧みにコントロールする。どこからどう見てもロクでもない男だが、どこか憎めない側面がある不思議な男だ。

バートン監督は本作の製作にあたってまずヴァルツをキャスティングしたそうで「ウォルターについて読んでみると、彼は様々な側面を持った人で、チャーミングだったし、非常に目立つ人で、だけどダークだし、場合によっては、暴力的ですらあった。すごく複雑な人物だったんだ。クリストフはそれをしっかりと表現してくれる俳優だった」と語る。一方のヴァルツは「あらゆる事実から距離を置いた。僕は芝居をしているのであって、ドキュメンタリーを作っているのではなかった」という信念から脚本だけを頼りに、バートン監督に全幅の信頼をおいてウォルター像を築いていったという。

軽薄で、調子よく、強欲だが、何かを売り出すことにかけては圧倒的な才能をもつウォルターは本当に“悪人”なのか? ヴァルツのハイテンションだが繊細さを失わない演技によって映画のウォルターは魅力的な人物として描かれているそうで、ヴァルツは早くも本年度のゴールデン・グローブ賞主演男優賞にノミネートされている。最低最悪だが魅力的なウォルターとは一体、どんな人物なのか? 公開が楽しみだ。

『ビッグ・アイズ』
2015年1月23日(金) TOHOシネマズ 有楽座ほか全国順次ロードショー