北海道から兵庫まで21都道府県に展開する生活協同組合「生活クラブ」。組合員数は、着々と順調に伸び続けており、現在は39万人を超えています。

2017年度の期首組合員数は371,288人であったところ、期末には390,462人となり年間で約1万9千人増えたといいます。

この飛ぶ鳥落とす勢いの生活クラブですが、その他の食材宅配サービスとは異なる魅力が、組合員を増やしている大きな理由のようです。

早速、その理由をみていきましょう!

扱う品物の9割以上がオリジナル

生活クラブは、一言でいえば、ちょっと変わった個性を持っている生協です。例えば、こんなことがあります。

・扱う品物の9割以上がオリジナル。
・取り扱っている品は「商品」ではなく「消費材」と呼ばれている。
・組合員自ら開発に関わっている消費材が多数ある。
・組合員自ら生産者と頻繁に交流している。
・厳格な自主基準をパスした品物しか扱わないルールがある。
・カタログ等ですべての原材料と主なアレルゲン情報を掲載する徹底した情報公開をしている。

生活クラブの担当者さんによると、「生活クラブがこれまで行ってきた食の安全や環境への取り組みは、組合員自身が他人まかせにせず、自分たちで考え、行動してきた結果。これが個性的なところだと思います」とのこと。

ところで、なぜ商品ではなく消費材と呼んでいるのでしょうか?

「商品という呼び名は、商売をして売り、利益を上げる品という意味があります。当たり前ですが、そうすると原材料がどうなのかということよりも、コスト的に儲かるほうがいいという考え方になってしまいます。

消費材という呼び名には、私たちは商売をしているのではなく、組合員と共同で、消費生活に必要な材を作る、という意味が込められています」

牛乳の共同購入が、すべての始まり

生活クラブの個性は、その誕生のきっかけを知ると、より理解できます。

「始まりは牛乳の共同購入でした。当時は、牛乳価格の高騰が背景にあり、これに対抗するために、1965年に世田谷区で始まった牛乳の共同購入が、生活クラブの始まりです。

そして約40年前、安心して飲めるおいしい牛乳が欲しいと思った組合員たちが酪農家と共同出資して、栃木県那須塩原市に自前の牛乳工場を作り、自ら望む牛乳を手に入れました」

まさに自分たちが飲みたい牛乳を作り始めたというわけです。

「その後も、牛乳の製造工程だけでなく、牛のエサから飼育環境などすべてを把握・共有し、私たちが食べたい消費材を生産者が作り続けられ、かつ食べ続けられる消費材づくりを継続しています。

こういった取り組みが、組合員の声の反映や参加による消費材開発に受け継がれています」

消費材の厳格な自主基準は500種類以上!

先に挙げた個性のうち、厳格な自主基準をパスした品物しか扱わないルールがあるという特徴も気になるところです。

なんと、消費材には500種類以上もの厳格な自主基準が設けられているのだそう!

具体的にはどのような基準があるのでしょうか? いくつか教えていただきました。

1.食品添加物への対策

「食品添加物について、『疑わしいものは使用しない』『不要なものは使用しない』『使用したものはすべて公開する』という考え方を原則に使用を削減してきました。

国が使用を認めた食品添加物は819品目。一方、生活クラブで許容しているのは約10分の1の85品目(2017年7月現在)です」

2.遺伝子組み換え作物を認めない

「食品の原材料だけでなく、家畜のエサや微量原材料においても、遺伝子組み換え作物は原則使用しません。やむを得ず使用する場合は情報を公開します。

カタログやWeb注文で『対策済』と『要対策』の2種類のマークで明記し対策状況をお知らせしています」

『対策済』のマーク「微量原料も含め遺伝子組み換え作物は原料に使っていません」の意味。
『要対策』のマーク「原材料の内、配合率1~5%未満の原材料で分別されていない原材料を使っています」の意味。

3.独自の放射能基準値を設け、放射能検査を継続して実施

「東京電力福島第一原発事故直後から、徹底した食品の放射能検査を積み重ね、その実績をもとに独自の自主基準を設けています。

生活クラブの放射能の自主基準は国の基準よりも厳しいものです」

▽検査結果はすべて公式Webサイトで公開
放射能検査結果 データベース