クミコ クミコ

予期せぬ別れを迎え、愛する人に伝えられなかった思いをつづった一編の詩から誕生した『最後だとわかっていたなら』を今年3月にリリースしたシャンソン歌手のクミコ。包み込むような優しさの中に凛とした芯の強さも感じるクミコの歌声が、聴く者を魅了する。

クミコ チケット情報

「2017年の秋ごろ、歌ってみませんかというお話がありました。詞だけを読むととても重く、どういう声で歌えば伝わるだろうかと試行錯誤しました。でも、歌うたびに響きが変わって。歌い方に正解はありませんから、日々、変わっていくものなのかなと思います」と楽曲との距離感を語るクミコ。

一方で、今だからこそ出会ったと深い縁も感じている。そのことを如実に表しているのが、年老いた男女とひとりの女性を描いたアニメーションで展開する同曲のミュージックビデオだ。この女性はクミコをモデルにしているという。クミコは今、90歳を超えた両親の介助も担っている。

「歌うたびに自分が戒められている感じがしました。疲れているとイライラしてしまって、つい両親に対する言葉もきつくなって。そんな自分が嫌にもなって。そんな時に口ずさむと気持ちがすっと鎮まるのです。この歌はお守りのような存在ですね。私の実生活と切り離せないものになっているので、まさしく自分のドキュメンタリーのような歌だなと思っています」。

同じような思いを抱えた人や境遇の人が大勢いる。「応援歌という言い方はおかしいかもしれませんが、少しでも慰めになれば」。

9月1日(土)には大阪でコンサートを開く。一部は越路吹雪も歌ったシャンソンの名曲を、二部は『最後だとわかっていたなら』や『わが麗しき恋物語』をはじめとするクミコのオリジナルソングを披露する。

「シャンソンはメロディもわかりやすく、歌詞も物語性があります。歌の中には大体、落語に出てきそうな、どうしようもない人たちが登場します(笑)。このコンサートでは、見終わった後に“人間って愛しいな”と思ってもらえたら」。

公演は、9月1日(土)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。チケットは発売中。

取材・文:岩本和子