オーストラリアの規制当局は、同国での5Gネットワーク構築からファーウェイおよびZTEを締め出す方針を両社に伝えた。ファーウェイのオーストラリア法人が日本時間8月23日、同社のTwitterアカウント上で明らかにした。

オーストラリアで通信・放送を管轄する通信芸術省は23日、同国の携帯電話事業者に対して5Gネットワークにおけるセキュリティ指針を通達した。指針では、これまでの携帯電話網は、アクセス制御や認証、課金等をつかさどる「コア」ネットワークと、加入者端末とコアネットワークを結ぶ無線機器などを指す「エッジ」の階層が明確に分離されていたのに対し、5Gのアーキテクチャでは、従来コアで処理されていた機能の多くがエッジにより近い階層へ移るため、セキュリティ上新たな問題が生じると指摘した。

同省は指針で特定のメーカーを名指ししなかったものの、外国政府による法外な指示に従う可能性が高いベンダーが5Gネットワークに関わった場合、国家安全保障上のリスクがあるとしており、この部分が中国ベンダーの締め出しを意味しているもよう。

各国当局と中国ベンダーの間では、米国が禁輸指定している製品をイランへ輸出したとして、今年ZTEが米商務省から多額の制裁金を科された。米政府はさらに、政府機関による調達からZTEおよびファーウェイを締め出している。ただし、ZTEと異なりファーウェイの場合、具体的な法令違反が指摘されているわけではない。

ファーウェイは24日、当局の指針に対する反論を本社名でオーストラリア法人のウェブサイトに掲載。5Gと4Gのアーキテクチャに根本的な違いはなく、むしろ5Gは、3Gや4Gよりもプライバシーおよびセキュリティ保護が強化されているとし、今回の決定は事実に基づく公平な決定ではなく、政治的意図によるものと批判した。