有機ELテレビの単価ダウンがビジネスにも影響

「7月の有機ELテレビの販売は台数ベースで前年同月を上回ったが、金額ベースはついに前年を割った。単価ダウンが激しすぎる……」。ある家電量販本部のマネージャーは有機ELテレビの急激な価格ダウンに頭を抱える。

全国の主要家電量販店・ネットショップの実売データを集計した「BCNランキング」では、液晶テレビと有機ELテレビを合算した薄型テレビの6月の数字は好調だった。しかし、有機ELテレビに絞ると17年7月と18年7月を比較して過去1年間の平均単価は10万円ほど下落。1台あたり平均単価は、17年7月が40万3085円たっだのに対し、18年7月が31万380円となった。

6月は、薄型テレビの販売台数が前年同月比126.1%、販売金額が126.7%と好調だった。例年の夏のボーナス商戦、サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本代表の勇姿をみるための買い替え、大阪北部地方を襲った大地震でテレビが転倒したことによる購入、という三つの要因が重なったためだ。

前出のマネージャーも、「6月の地震やその後の豪雨による浸水などで、確かにテレビの買い替えは発生した」と語る。しかし、それよりも気になるのが有機ELテレビの価格下落だ。

さらに、有機ELの販売金額と台数前年比を比較してみた。6月と7月だけに絞ったのは、17年6月にソニー、パナソニック、LGエレクトロニクス、東芝の4社の有機ELテレビが出揃ったからだ。それ以前は、東芝とLGエレクトロニクスの2社だけだったので、金額、台数の前年比が大きすぎて参考にならない。

6月の販売金額は前年同月比260%だったのに対し、7月は140%まで伸びは約120ポイントのダウン。販売台数は6月が363.5%だったのに対し、7月は187.1%と約176ポイントもダウンした。

金額ベースは前年割れしていないものの、画面サイズが大きい有機ELテレビほど、単価下落のインパクトは大きくなるとみられる。一般的に、単価ダウンが進めばユーザーは購入しやすくなり、マーケットが台数と金額ともに拡大するが、台数や金額の伸びより単価ダウンの下げ幅のほうが強くなると金額ベースのマーケットは縮小する。台数が増えても、金額ベースで前年割れとなるようなら、ビジネスとしての成長性が見込めなくなってしまう。立ち上がったばかりの有機ELテレビのビジネスに、早くも陰りがみえ始めたのだろうか。(BCN・細田 立圭志)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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