(画像左から)鈴木勝秀、草笛光子、松岡昌宏 撮影:イシイノブミ (画像左から)鈴木勝秀、草笛光子、松岡昌宏 撮影:イシイノブミ

8月下旬、舞台『新・6週間のダンスレッスン』の製作発表会見が行われた。2006年の初演以来、通算194回上演されてきた人気のふたり芝居が、新演出で蘇る。まず、音楽監督、ギター&ヴォーカルを務める大嶋吾郎が、劇中のナンバー「God Only Knows」を披露。会場を豊かなメロディで染めた。

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演出の鈴木勝秀は「草笛さんが新たな形での上演を提案。よりエンターテイメント性の高い作品にしたいという気合いに押され、お引き受けしました。誰もが経験する老いへの不安、孤独な個人同士がどう結びついていくのか。今、日本が直面するテーマをはらんだ作品です。今回、音楽は生演奏、衣裳と美術も一新。伝統を守りつつ、新たな切り口で現代に通用する作品に仕上げたい」と意気込みを語った。

2006年の初演以来、未亡人リリー・ハリソンを演じてきた草笛光子は、「初演のように、心配しています(笑)。前からの残像を払拭して、新しく生まれ変わりたい。あと何年女優生活ができるのかわからないですが、死んでもいいから頑張っちゃおう!という気持ちです」。新たに14歳のダンス・インストラクターであるマイケル役に挑む松岡は「今までのマイケルを忘れさせて、俺色に染めてみせます」と意気込んだ。

今回の松岡の出演は、草笛からのラブコールだったそう。草笛は「『ロスト・イン・ヨンカーズ』で共演した際、松岡君が私の息子役。あ!ここにマイケルがいた!と思いましたが、気持ちを隠しておりました。前回、観ていただいたら、楽屋で「俺に観せた意味がわかった。俺にやれという意味だろう?」と、自信満々(笑)。本当にマイケルそのものですね」と松岡に太鼓判。

その話を聞いた松岡は「馴れ初めではないので」と笑わせた後、「プレイヤーとしては舞台を拝見すると、自分だったらこう演じると考えるもの。楽屋で感想を聞かれて、“僕ならこう演じたい”と話しまして。それからママと何度かデート重ね、“本当にできる?”と聞かれ、即答しました」と語る。

すると草笛は、「私のこと、ママと呼ぶので困るんです。リリーとマイケルと呼び合って!喧嘩するところは情け容赦なく」と、宣言した。劇中では6種類のダンスを披露するが、好きなダンスを問われ、草笛は「ワルツ。曲線を描く体の動きは、易しいように見えて難しい」、松岡は「どれも踊ったことがなくて。ダンス自体、25年踊っていない(笑)。でもふたりで呼吸を合わせるのは楽しい」と稽古を楽しんでいる様子。

草笛が、「ダンスにもアドリブが出たりする。そんなライブ感を狙いたいの!」と言うと、松岡が「ほら、急にスイッチが入った!」とツッコミを入れる松岡。草笛の心を掴む方法を聞かれて、「顔じゃないですか!」とドヤ顔。草笛も「もう掴まれています」と、息の合ったところをみせた。

公演は9月29日(土)から10月21日(日)まで、東京・よみうり大手町ホールにて。その後、石川、福岡、大阪を巡演。

取材・文:三浦真紀