子連れ会議の思わぬ恩恵?

――ウエノ・ポエトリカン・ジャムは、谷川俊太郎さんや、松永天馬さんなど、そうそうたる出演者が揃った大きなイベントだったそうですが、運営するにあたって、妊娠していることや出産後のことは不安ではなかったのでしょうか。

三木「そうですね、産まれた後のことは少し心配でした。子どもって小さいうちから個性があるので、いざ生まれてみて、すごく手のかかる子だったらどうしようとか、そういうのはありましたね。

でも、すべては走り出してしまったので・・・妊娠中から、たぶんいろいろ迷惑をかけることもあるかもしれないとは、スタッフのみんなには言っていました」

――他のスタッフは独身の男性が多いそうですね。

三木「そうですね。でも私が子どもを産んで、“実は自分、きょうだいが多くて、弟の面倒をみてました“って言ってきてくれた人がいたり、共同主催者のikomaも、 過去に学童保育や児童相談所で仕事をしていたと話してくれたり、 そういうのはもし子どもがいなかったらしない会話だったと思うの で、面白いですよね」

――彼らを含め、多くの若者が、産まれたばかりの赤ちゃんに会う機会って少ないですよね。ママになって初めて赤ちゃんを抱くという女性もいますし。反対に、なにか批判的なことを言ってきた人はいませんでしたか?

三木「それはなかったですね。初めから、私が主催者とわかっていて、“私=赤ちゃん連れ“が当たり前というか、”あれっ、赤ちゃん”と思っても、次の瞬間には“そっか、三木さん、子どもいますもんね”って納得してくれて」

――赤ちゃんの扱いに戸惑ってしまう人はいませんでしたか?

三木「いちおう初めて会う人には、“赤ちゃんいるんですが、大丈夫ですか?“とは聞いていました(笑)」

――社会が赤ちゃん連れに冷たいとよく言われますが、あれって、要するに、赤ちゃんに慣れていない人が多いだけなんですよね。

赤ちゃん連れにやさしい年配の方は、赤ちゃんに接する回数が多いからスキルが高いだけで、若い人でも、子どもがいない人でも、赤ちゃん連れにやさしくしたい人はいると思うんですが、優しくしたくても慣れていないから、どうしたらいいのかわからないだけなのではないでしょうか。

三木「私も最初のうちは、かなり前もって”子連れで行くのでご迷惑おかけすることもありませんが、よろしくお願いします“って言っていたのが、だんだん直前になり(笑)」

――他の方も慣れていったんですね。赤ちゃんに慣れている人が多ければ多いほど、赤ちゃん連れに優しい社会になる気がします。そういう意味では、赤ちゃん連れで公の場に出ることは、身近なところからできる社会貢献なのでは? と思いました。

三木「そうですかね(笑) 生後1,2ヶ月の子どもを預けることはあまり想像できなかったので連れて行きましたが、結果的に、子どもがいることで会議が滞ることはなかったですね、ありがたいことに」