現代社会は本当に子連れに冷たいのか?

三木「よく、現代は子連れに冷たい社会だと言われますが、実社会で私はそれほど嫌な思いをしたことがないんですよね。SNSとかでそういうことが流れてくるのを目にすることもありますが、同じくらいいいことも社会にはあるんじゃないかと思うんです」

――そうですよね。先ほども言いましたが、社会には、子連れに厳しい人と同じくらい、親切にしたいけどどうしたらいいかわからないという人がいると思うんですよ。

さらに、小さな子どもを連れたママたちの方にも親切を受け入れる余裕がないというか、迷惑をかけまい、とすごく緊張してますよね。それが、“子連れに冷たい社会”を生んでいる気がします。

三木「ネットでそういうことを読むと、世のママとかはこわいなと思って委縮してしまうんですよね」

――上のお子さんの時は、どんな感じでしたか?

三木「上の子どもの時は、やっぱり初めてだったので、私もすごく周りを気にしていたし、バスとかで泣くと、すぐ降りなきゃと思って、実際に降りたりしていました。

だけど、だんだんそこまでしなくても、やさしいおばちゃんとかおじちゃんとかいるんですよね。こっちが勝手に過敏になっていたというか、こっちから遠慮しちゃってたんだってことに、だんだん、2年、3年とかけて気づいていった感じですね。

その経験があるので、二人目は一人目よりはかなり図太く育てられていると思います(笑)」

――街中で会うママたちって、わりと険しい顔をしていると感じるのですが、あれはがんばっているからなんですよね。がんばり過ぎてしまっている。

三木「意外と、人って、助けを求めたら助けてくれるんじゃないかと、私も子どもを二人産んで思えるようになったんですけどね。

ネットでネガティブな声を聞くと、実際以上に大きな声に聞こえてしまいがちだと思うんですが、本当は、助けたいと思っている人も社会にはいて、でも助け方がわからなかったり、ママの方が助けを受け取るのが苦手だったりして、マッチングがうまくいっていないんですよね」

――三木さんのように、子連れの自分のまま社会にいても、受け入れてもらえる体験を、より多くの人ができるようになるといいと思います。

まとめ

社会、というとサイズが大きくなってしまいますが、まずは身近なところから、子ども連れで行くことに慣れていってはどうでしょうか。

安心できる預かり先があればあるにこしたことはないですが、子どもがいるから行きたい場所に行けないというのは、しなくてもいい選択なのかもしれません。

それがたとえば、より公的な場であっても、堂々と理解と協力を求めたうえで自分の能力を発揮できれば、誰にも後ろ指を指されることはないはずです。

ちなみに、筆者は数年前、出産をまたぐ2年間、地域の自治会の副会長をこなしました。もちろん、家族や、他の会員の方の協力あってのことですが、赤ちゃん連れで定例会議に参加することで場が和む効果もたしかにありましたよ。

今回インタビューに応じてくださった三木悠莉さんですが、昨年、約900人を動員し大成功を収めたウエノ・ポエトリカン・ジャム5に飽き足らず、今年も走り続けます。

ウエノ・ポエトリカン・ジャム6は、今年は9月15日、16日の2日間開催されます。会場は上野水上音楽堂です。

昨年に引き続き出演する谷川俊太郎、松永天馬を始め、町田康、いとうせいこう、三角みづ紀、文月悠光など、さらに多数の豪華ゲスト陣に加え、100人のオープンマイク(一般からの自由参加のパフォーマンス枠)といった内容で、なんと入場無料!

赤ちゃんやお子さん連れも大歓迎だそうです。

詩や言葉に興味のあるママは、ぜひチェックしてみてくださいね。

【取材協力】三木悠莉 (みきゆうり)
2012年、ポエトリーリーディングを始める。
ウエノ・ポエトリカン・ジャム5、6 代表。 ポエトリー・スラム・ジャパン2017秋 全国優勝。 パリで開催されたポエトリースラムW杯に日本代表として出場。 同会期中開催の俳句スラムで優勝。
2018年は東京予選B大会にて先日、優勝。 今年も全国そして世界を目指す、9歳女児と1歳男児の母。