第7位 元祖緑豆/원조녹두(乙支路3街)

『元祖緑豆』のヘムルパジョン10000ウォン。ネギたっぷりでヘルシー

夫婦で切り盛りするジョン(チヂミ)の店として80年代から行列を作っていた『元祖緑豆(ウォンジョノクトゥ)』。

その人気はいっとき落ち着いたが、ここ数年、懐古趣味の盛り上がりにより、再び脚光を浴びている。

韓国ではジョン(チヂミ)には生マッコリと相場が決まっている。

以前はソウルの長寿マッコリしか置いていなかったが、最近は京畿道の歴史ある醸造所で作られるジピョン・マッコリを出すようになったので、こちらも試してみよう。

つまみは細かく刻んだタコとネギがたっぷり入ったヘムルパジョンがおすすめだ。

これを刻んだタマネギを漬けこんだ甘めの醤油ダレにつけて食べる。野菜がたっぷりなので、油っこさはあまり感じない。

長年、ジョンを焼き続けたご主人は3昨年に亡くなられたが、今は奥さんとお手伝いさんががんばっている。

住所:중구 입정동 272-8 TEL:02-2277-0241 無休

第6位 オンマソン・チジミ/엄마손지지미(千戸洞)

『オンマソン・チジミ』のつまみは3000~15000ウォンと激安

千戸洞(チョノドン)はソウルの東の端(地図でいうと右端)にある下町だ。

日本人にはなじみが薄いかもしれないが、有名なウォーカーヒルホテルのふもとを流れる漢江の川向こうといえばわかるだろう。

ロッテワールドのある蚕室(チャムシル)からもタクシーで10分くらいだ。

千戸洞は東京で言えば、位置的にも性格的にも北千住によく似ている。

下町とはいうものの千戸駅の真上には現代百貨店があるし、その南側にはEマート、そのさらに南側にはロデオと呼ばれ若者向けショッピングストリートもある。

ソウル中心部まで地下鉄で30分の距離なので、ここ数年、高層マンションも林立し、街がどんどんあか抜けしている。

しかし、ロデオを突き当りまで歩き、筆者が子供のころから通っている千戸市場やその奥(北側)の東ソウル市場に入ると、雰囲気は一気に地方都市風になる。

ソウルの居酒屋ベスト10第6位の『オンマソン・チヂミ』は、千戸市場の東のずれにある目立たない酒場だ。

メニューを見ると誰もが驚くように、この店の魅力は価格。店名通りチヂミ(ジョン)が目玉なのだが、価格帯はペチュジョン(白菜チヂミ)3000ウォンからトンテジョン(タラのチヂミ)7000ウォンとソウル中心部の半値に近い。

これぞ下町価格だが、安かろう悪かろうではけっしてない。

目の前にある市場で素材を吟味し、下ごしらえをていねいに行い、営業中も黙々と調理にいそしむ女将の姿を見れば、それがよくわかる。

客層は下町らしく、リタイアしたおじいちゃんが中心。日の高いうちからご近所さんが集まって、酒を酌み交わす姿はなんともほほえましい。

ジョン以外にスントゥブチゲやキムチチゲ、トンテ(タラ)チゲなどの鍋やコンククス(豆乳スープの冷麺)もあるので、下町散歩がてらランチも楽しめる。

住所:강동구 천호동 362-41 TEL: 02-442-3073 無休

(次回後編に続く)

※いずれの店も、写真説明文にあるハングル表記の住所をタクシー運転手さんに見せれば、近くまで連れて行ってくれる。

※動画は、『文化空間アリラン』の女将チェ・ウンジンさんが歌う『海水浴場風景』

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。