次世代のキャッシュレス決済の主役と目されているQRコード決済に、EC業界の巨人であるAmazonが参戦する。海外では無人店舗「Amazon Go」などの取り組みがあるが、同社が日本において実店舗ソリューションを展開するのは今回が初。また、QRコードを活用した正式サービスとなると、Amazonとしては世界初の試みとなる。

QR決済システムを支えるのは、Amazonアカウントを利用した決済サービス「Amazon Pay」だ。Amazon.co.jp以外のECサイトでもAmazon.co.jp同様の購入体験ができるサービスで、2015年5月の提供開始以来、すでに数千社が導入している。今年7月にはAmazon Payを活用した新サービスとして、日本赤十字社と協業した日本初の音声決済対応Alexaスキルを発表したばかりだ。

Amazon Pay事業本部の井野川拓也本部長は記者会見で、「コネクテッド・コマース」というキーワードをあげ、「ECサイトの垣根、デバイスの垣根、そしてオンラインとオフラインの垣根を超えた購買体験をAmazon Payで提供していく」とサービスの理念を説明。Amazon Payを導入するECサイトのメリットである簡単決済・安全性という要素は、QRコード決済でも強みになるという。

支払いの手順としては、まず自分のスマートフォンにインストールした「Amazonショッピングアプリ」を起動。メニューから「Amazon Pay」を選択し、QRコードを表示する。そのQRコードを店頭の対応端末で読み込めば、決済完了。支払い後は登録しているメールアドレスに通知が届く。

今回のサービスは、さまざまなキャッシュレスソリューションを提供するNIPPON PAYと協業することも特徴だ。NIPPON PAYは子会社のNIPPON Tabletで決済や通訳サービスをインストールする店舗向けタブレットのレンタルを行っている。タブレットのレンタルは無料で、インストールされている外部事業者のサービス利用料からの手数料を収益としている。

現状、店舗がAmazon Payを利用するためには、NIPPON Tabletの端末は必須。導入を促進するために両社は、18年12月末までにAmazon Payと店舗向けタブレットを同時に申し込んだ店舗は20年末まで決済手数料を無料とするキャンペーンを展開。Amazon Payの決済手数料は通常3.5%だが、期間中はNIPPON Tabletが料金を負担する。

NIPPON PAYの高木純社長は「決済手数料は店舗の規模によって変動し、中小店舗は5~8%と高く設定されている。また、POSレジやiPadなどを活用したモバイルPOSレジの購入費用が高かったり、売上金の回収が遅かったりと導入できない理由は多い。AmazonとNIPPON PAYが切り開いていくのは、まさにこのレジ未更新市場で120万店舗以上にリーチできると考えている」とコメント。

専用端末の存在は一見、サービス導入のハードルになりそうに思えるが、それはすでにタブレットを確保できている店舗の場合。一からキャッシュレス決済に取り組む店舗にとっては、無料でレンタルでき、故障時の保証もある専用端末は導入の後押しになると高木社長は推測する。

サービスは8月29日から福岡市の数十の対象店舗で実証実験をスタート。すでに専用端末を導入している店舗では29日以降、順次使用が可能になるという。Amazon側から今後の導入目標は発表されなかったが、NIPPON Tabletは18年度末までに約5万6000店舗への専用端末導入を掲げており、これがそのままAmazon Pay拡大の目安になりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)

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