市川崑監督

今年、生誕100年を迎える市川崑監督の傑作『雪之丞変化』『炎上』『おとうと』が4Kデジタル復元され、2月から開催される第65回ベルリン映画祭のフォーラム部門で上映されることが決定した。

その他の写真

市川崑は、アニメーターとして活動した後、1948年に『花ひらく』で監督デビュー。『ビルマの竪琴』『東京オリンピック』『犬神家の一族』『ぼんち』『野火』など数々の傑作を発表し、徹底的にこだわり抜いた画作りと観客をアッと驚かせる語り口で人気を博した。

このほど4Kデジタル復元されたのは3作品。『雪之丞変化』は名優・長谷川一夫の当たり役・中村雪之丞を主役に据えた作品で、大胆な色使いと構図が特徴的な1作。『炎上』は監督と繰り返しタッグを組んできた市川雷蔵を主演に迎えて三島由紀夫の小説『金閣寺』を映画化した作品だ。幸田文の小説を名脚本家・水木洋子が脚色した『おとうと』は岸惠子、川口浩を出演者に向かえた傑作で、カメラマン宮川一夫が“銀残し”という手法を用いて描いた色彩も高く評価された。今回の復元は現存する最良のフィルムを4Kを超える解像度でスキャンし、ゴミや傷、色むらをすべてデジタルで補正。公開時の質感を最大限に尊重して復元を行ったという。
今回の映画祭出品について岸惠子は「深川の土手に桜の木を植えて、『おとうと』が撮影されたのは54年もむかし。その古いフイルムが、市川崑監督の生誕100年を記念して新技術のお蔭で蘇りました。女優としての私に大事な道しるべをくれた『おとうと』。今の若い方たちにはどんなふうに観ていただけるのでしょう?心配と希望で胸が高鳴ります」とコメントしている。

また、3作品が3月に開催される第39回香港映画祭にも出品されるほか、監督の生誕100周年を記念する様々な企画が進行中だという。