日本のスポーツ興行は、もったいない!? 物があふれている時代に「清貧でがんばれ」は古い!

木谷:今から20年前の日本のスポーツマーケットって全体で5~6兆円だったんですね。

そしてこれは今でも変わっていません。アメリカは20年前の18兆円から、今は58兆円に伸びています。

中村:すごい差がつきましたね。

木谷:これは日本のスポーツには、ビジネスとは程遠い人たちがいつまでも上に居座っているからですね。

もったいないなと思うスポーツたくさんありますよ。

一番もったいないのは高校野球です。どれだけスポンサーつけられることか(笑)。

考え方にもよりますけどね。

「清貧で頑張れ!」って、戦後の貧しい時代じゃないんですから、ただただ頑張れは難しいですよね。

だったらビジネス化してあげて、高校の野球部に寄付して用具とかもよくして環境を整えてあげるとか、家が裕福でない人でも気を遣わずに野球できるようにしたりとか。

あとは相撲協会。相撲協会の売り上げ100億ちょっとしかないんですよ。

少なすぎると思いませんか?(笑)あれだけの独自コンテンツなんだから海外にもっと売れてもおかしくないのに。

中村:確かにそうですね(笑)

発想から変えていかないとということですね。

vol.4 総括

すべてのジャンルはマニアがつぶす!木谷取締役の思う、本当にいいコンテンツとは?

木谷:日本人はロイヤルカスタマー(サービスやコンテンツに対して忠誠心の高い顧客)を重要視しすぎなんですよね。

中村:新しい層よりもそっちになっているところが多いかもしれないですね。

木谷:本当にいいコンテンツというのは、熱しやすく冷めやすく、また戻りやすいものだと思っています。

中村:身近でいうとどういうものがありますか?

木谷:プロレスが実はそうなんですよ。メンバーにあまり変更がないので、3年見ていれば飽きますよ。でもいつでも戻ってこられる。

常に新陳代謝がいい方が、古参(古いお客さん)が偉そうにならないし、新しいお客さんも入りやすくていいんですよ。だから僕はずっと、「すべてのジャンルはマニアがつぶす」って言っています。

Jリーグは頑張ってるけど、サッカーの動員数ってチーム数のわりに少ないんですよね。

中村:入りやすさはないですよね。マニアが潰している…(笑)

その点でキックボクシングはいけると思われたんですか?

木谷:キックボクシングは上位概念がないので。バラバラなんですよ。

総合だったらUFCとかあるんですけど、キックはでかい団体やイベントがない。

概念自体を作ってしまえば世界一位になれる可能性があるんですよね。

苦労はしてますけど……。

中村:苦労はされてると思うんですけど、楽しんでらっしゃる感じがしますよね。

木谷:いろいろ全部を見ているんでね。

さまざまな分野にわたって事業を展開していくブシロードグループ。企業が大きくなっていく中でも、木谷取締役ご自身が会社やコンテンツとしっかりと向き合っていることがわかりました。

マーケティングでは大ヒットは生まれない、今の時代に清貧で頑張れは古い!自分にしか越えられない壁を越える、など、経営者でなくても“ためになる”言葉をたくさん聞けて楽しかったです。

木谷取締役、ロングインタビューのご協力、どうもありがとうございました。今後のブシロードグループの展開がますます楽しみです!