【1】いたずら・嫌がらせ犯の特定

玄関に汚物を置き去りにされる、駐車場のクルマに傷を付けられる、中傷ビラを撒かれるなど、怨恨や逆恨みによる個人トラブル。これらには「隠し撮り・尾行の技術」が応用できるそうだ。

嫌がらせの場所が固定されている(自宅玄関など)場合は、犯行時刻を中心に調査員が張り込み、または偽装した小型カメラを設置して無人の隠し撮りをする。犯人の詳しい素性も知りたい時は尾行したり、乗り物に発信器を付けたりして帰宅先を探る。

有沢氏によれば「ある家の住人に嫌がらせする場合、たとえば“この位置で待機して、このルートで離脱すれば安全”なベストポジションは意外に限られてきます。いつも素行調査をこなしている探偵なら相手の行動パターンが絞り込みやすく、犯人特定から証拠撮影まで難なく行えるのです」という。
 

【2】盗聴器・盗撮カメラの発見

おもに女性を狙った盗聴・盗撮行為。一般人なら盗聴器があるかどうかすら判別が難しく、ましてや仕掛けてある場所の特定やその後の対処までは考えられないだろう。
しかし「バレないように対象を監視する」のが日常に探偵にかかれば、盗聴盗撮器の発見はそれほど難しくないそうだ。

「盗聴盗撮の調査は専用の受信機を使って機械的にスキャンするのが第一、そこからは経験に基づいて目視でくまなく探していきます。
素人はひとくくりに“盗聴器”と言っていますが、アナログかデジタルか、有線か無線式か、市販品そのままか改造品か、偽装タイプかそうでないか……など多種多様です。この幅広い知識を持っている本業の探偵が有利なのは言うまでもありません」と有沢氏は話す。
 

【3】ストーカー対策

一方的な恋愛感情によって相手にしつこくつきまとう卑劣な行為。近年はしばしば殺人事件にまで発展しており、ストーカー規制法も万全に機能しているとは言いがたい状況だ。

探偵は依頼を受けて対象者を監視するいわば「職業ストーカー」であるため、素人のストーカーに対して強さを見せるという。

「ストーカー対策には大きく3つのステップがあると考えます。まず相手が本来なら知り得ない被害者の個人情報まで得ていた場合は“どこから情報が漏れたか”を特定し、それ以上の漏洩をシャットアウトします。
次にストーカー行為の証拠収集。ここでも普段の調査で培ってきた尾行や張り込み、隠し撮りの技術がフルに活かせます。
そして最後は犯人への働きかけ。相手のプロフィールや異常性なども考慮して、直接コンタクトを取るか、収集しておいた証拠を添えて警察・弁護士など外部の力も借りるか……判断を誤ると状況が悪化しかねませんから慎重さが求められます」とのことだ。