今話題を集めているのが、世界一子どもが幸せな国といわれているオランダ発祥の「ピースフルスクールプログラム」という教育プログラム。

世界一子どもが幸せな国の教育法とは? そして日本にすでに導入されている保育施設ではどんな風に取り入れられているのか、気になりますよね!

そこで今回は、ピースフルスクールプログラムの幼児版プログラムを提供している、一般財団法人クマヒラセキュリティ財団の担当者さんにその概要と、実際、保育園ではどんな風に教えられているのか教えていただきました。

ピースフルスクールプログラムって?

まずは、クマヒラセキュリティ財団で「ピースフルスクールプログラム」を担当する金森匡子さんに、概要を教えていただきました。

金森匡子さん(以下、金森)「ピースフルスクールプログラムとは、幼児から始まる、オランダで開発された自立と共生の力を身につける教育プログラムです。まず、自分の意見を言う練習から始まり、例えば今どんな遊びをしたいのか、それはなぜなのか理由をつけて話すことを学びます。

また、相手の話を聞くことや、自分の気持ちを伝えることも重視します。お互いに気持ちがわかりあえると共感できるようになり、それが心地良いピースフルなクラスや園作りの一歩になります。子どもたちは対話の力をつけて、簡単な対立は話し合いで解決する方法も学びます。

また、学ぶだけでなく、毎日の園の生活の中で学びを繰り返し練習しながら身につけるのも特徴です。自分たちができることを知って日々実践することで、子どもの主体性が育つプログラムです」

日本でどう実施されている?

【授業風景】レッスン開始時に、子どもたちに今日の気持ちをたずねます。例「今日、ハッピーじゃない人はいますか」。続けることで、子どもたちは、自分の感情を伝え、自らコントロールすることや他の人の気持ちを知ることができるようになります。

日本では、どのようにピースフルスクールプログラムが実施されているのでしょうか。毎週1回、30分ほどのレッスンが行われている、実際の保育園の例を教えていただきました。

金森「時間になると、園児たちは椅子を丸く並べて座ります。先生は、『今日気持ちがおだやか(ピースフル)でない人はいますか』と聞き、次は始まりのゲームでリラックスし、今日の学びに入ります。導入時に先生はパペットを使って、劇を行うことも多いです。

例えば、レッスンが『いやな時は“やめて”と言おう』であれば、サルとトラのパペットを使って、2つの劇を行います。子どもたちは、劇を見て『いやだ』ということの大切さに気づきます。最後は、実際の状況を設定して、こどもたちは二人組になって『いやだ』と言う練習をします。

このような内容をはじめとしたさまざまな内容が、1年間のカリキュラムとして設定されており、行っていきます」

普通の保育施設とはどう違う?

日本の一般的な保育所で行われているプログラムとはどのように違うのでしょうか? このピースフルスクールプログラムを導入して2年目の、ある保育園の園長先生は、次のように話します。

園長先生「プログラムの導入により、先生が声がけして何かをさせるのではなく、子どもたちが何をしたいのか、その様子をまず見るようになってきました。

例えば、対立やケンカがあったとき、以前はすぐに先生が間に入って、両方にあやまらせて終わりにしていましたが、今年は、先生はまず様子をしっかり見て、必要を見極めて声をかけるようになりました。

また先生が声をかける前に、プログラムで学んだ通り、子どもたちが自ら話し合い、解決することもあるそうです。保育士による一斉の声掛けや指示・注意することが減り、子どもたちは自分で考え行動することが増えています」