松坂桃李、miwa

「撮影の始まる1年前に、ヴァイオリンを受け取って練習を始めていました」と明かす松坂桃李主演の『マエストロ!』。寄せ集めのオーケストラが謎の指揮者と再起にかける本作で、ヴァイオリニストかつ若きコンサートマスターの香坂に扮した松坂と、演技初挑戦にして、松坂や、指揮者役の西田敏行らに囲まれて天真爛漫なフルート奏者あまねを演じた、シンガーソングライターmiwaが「1800円でぜひコンサートに」とPRする同作で互いを称えた。

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さそうあきらの同名コミックを映画化した本作。人間ドラマも深く描かれるが、やはり見どころは演奏シーン。キャスト陣はみな、吹き替えナシで楽器演奏に挑んだ。だからこそ撮れた映像があると松坂は胸を張る。「カメラのついたラジコンヘリを飛ばして引きの画から始めて、そこからクレーン撮影に繋げて、ひとりひとりの演奏が指元までわかる寄りの画を順に撮って、滑らかにまた全体の画に戻る。まるでジェットコースターに乗っているかのような、音楽に合わせてのあの疾走感は、本作だから可能になった画だと思います」。

miwaにとってもフルートは初めての楽器。天真爛漫なあまねは「自分に近かった」というが、あまねには阪神淡路大震災で両親を亡くした過去があり、そのことを思い出し涙しながら独奏するシーンも。「小林(聖太郎)監督から阪神淡路大震災の本をたくさんいただいたり、子役の子が演じた5歳のあまねのリハーサルを見せていただいたりして臨みました」と話すmiwaに「とても初めての演技とは思えなかった」と絶賛の松坂。加えて「音楽を奏でることによって発揮される求心力があって、ミュージシャンならではなのかなと思いましたね」と感想を伝えた。

照れていたmiwaも「松坂さんが病院でヴァイオリンを弾くシーンがあるんですが、指使いがすごく難しい場面なんです。集中力の高さと、そこにプラスして表情だけで感情を表現されている姿に『すっご~い!』と感動しちゃって、完全に観客になってました(笑)」と告白して松坂を笑わせた。

『マエストロ!』
1月31日(土)全国公開

※取材・文・写真:望月ふみ