『ビッグ・アイズ』 (C)Big Eyes SPV. LLC

『マーズ・アタック!』『フランケンウィニー』のティム・バートン監督の新作『ビッグ・アイズ』の本編映像が公開になった。全米で圧倒的な人気を博した絵画“ビッグ・アイズ”シリーズの生誕の秘密について、ウォルター・キーンという男が語っている。しかし、彼のいうことは真実なのだろうか?

本編映像の一部

本作の主人公マーガレット・キーンは、大きな瞳が特徴的な“ビッグ・アイズ”シリーズで圧倒的な人気を博し、ポップ・アート史にその名を残している画家だが、60年代のアメリカではこの絵はマーガレットではなく、夫のウォルターの描いた絵として発表された。映画は、夫婦が“ビッグ・アイズ”シリーズを生み出し、世に送り出すまでと、夫婦の葛藤、そして得られたはずの富と名誉を捨て、真実を公表しようと闘うマーガレットの姿を描いている。

このほど公開されたのは、シリーズの“作者”として注目を集めた夫のウォルターがテレビ番組に出演している場面。「戦災にあった子供たちの姿を見て衝撃を受け、私の画家としての人生がはじまりました」と語るウォルターは、自分ではまったく絵を描いていないにも関わらず、スラスラと嘘のエピソードを披露し、番組出演者たちを感動させる。

劇中でウォルターは次々に嘘をつき、話を大きくし、妻の描いた作品を“自分の作品”として売り込んでは富を手にしていく。しかし、同時に彼は単なる嘘つきではなく、アートを広め、売り、マーケットを拡大していく才能に恵まれていた。本作の脚本を手がけたラリー・カラゼウスキーは「彼は一般の人たちが購入できるように絵画を低価格で製作する方法を見つけ、アート界に革命を起こした。ピーター・マックスやトーマス・キンケードは彼の手法を真似たし、アンディ・ウォーホルでさえも彼の哲学の一部を借用したことを認めている。絵の本当の作者はマーガレットだったけれど、それでもウォルターという男は、ある意味天才だったんだ」と分析する。

絵を描く才能はないが、絵を売る才能に恵まれ、アートの世界に革命を起こしたウォルターを“ペテン師”と片付けていいのか? 本作では名優クリストフ・ヴァルツがウォルターを演じており、映像でも彼のテンションの高い演技を見ることができる。

『ビッグ・アイズ』
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