キヤノンマーケティングジャパングループの中期経営計画を発表する川崎正己社長

キヤノンマーケティングジャパンは、1月28日、2015~17年の中期経営計画を発表した。14~17年に売上高を年平均4.0%で成長させ、17年には7410億円(14年比12.4%増)までの売上げ拡大が目標。営業利益は、17年に370億円(14年比47.4%増)を目指す。

デジタルカメラやインクジェットプリンタなどを含むイメージングシステム分野は、年平均2.6%の安定した成長を続け、17年に売上げ2000億円、営業利益で130億円の目標を掲げる。発表会で川崎正己社長は、「レンズ交換型カメラでは、プロ向け、ミドル向け、エントリ向けでトップシェアだが、唯一4位に甘んじているミラーレスでもトップシェアを獲得し、17年までに全カテゴリでトップシェアを実現したい」と意気込みを語った。

一方、このところスマートフォンに押されて縮小が続いているコンパクトデジタルカメラは、「17年までには底打ちする」との見方を示した。また、インクジェットプリンタ市場については、「ハードウェアとしては横ばい市場」との認識を示しながら、「スマートフォンなどの普及によって写真の撮影枚数が増えていることから、プリンタからの出力枚数増を促進したい」と語った。

14年の年間販売台数でNo.1メーカーを表彰するBCN AWARD 2015では、キヤノンはイメージング分野のほとんどを独占。デジタルカメラ(レンズ一体型)部門(28.7%)、デジタルカメラ(一眼レフ)部門(54.7%)、交換レンズ部門(21.2%)、インクジェットプリンタ部門(42.6%)、複合プリンタ部門(41.5%)、サーマルプリンタ部門(66.6%)、フォトプリンタ部門(31.0%)の7部門で、14年の年間No.1を獲得した。

しかし、唯一ミラーレス一眼の年間No.1は、台数シェアは34.3%のソニーが獲得。最も売れた「NEX-5T」を筆頭に19製品を揃え、税別平均単価でも、市場全体が5万6800円だったのに対し、ソニーは6万1500円と高かった。一方、キヤノンは年間シェアは11.7%で4位。昨年のミラーレス一眼のラインアップは「EOS M」と「EOSM2」の2モデルしかなく、平均単価も4万9900円と全体を下回った。

ミラーレス一眼市場の14年の動きを振り返ると、キヤノンの販売台数シェアは1~12月でおよそ2.1ポイント上昇。12月は10.9%で終わった。多少の上下はしながらも、安定して2ケタシェアは確保できる状態までにはなっている。しかし、平均単価は4万円台半ばから5万円台前半で推移し、主要7社中下から2番目か3番目あたり。価格の安さでシェアを保っている状態ともいえそうだ。

キヤノンがミラーレス一眼でトップシェアを獲得するには、単価が高くても売れる商品力の高い新製品を出しながら、どのようにラインアップを強化していくかが課題になりそうだ。(道越一郎)