フランチェスカ・ドット、キアラ・ムーティ、クリスティーネ・オポライス photo Ayano Tomozawa フランチェスカ・ドット、キアラ・ムーティ、クリスティーネ・オポライス photo Ayano Tomozawa

1880年開場のイタリアの名門ローマ歌劇場の4年ぶり4度目の来日公演開幕を目前に控え、指揮者・演出家と主要キャストによる開幕記者会見が開かれた(9月5日・東京文化会館)。今回最もファンの注目を集めているのはふたりの女性演出家の起用、ともに著名な芸術家を父に持つアーティストだ。

ヴェルディ《椿姫》は、映画監督フランシス・フォード・コッポラの娘ソフィア・コッポラの演出作品。映画監督として、『マリー・アントワネット』や『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』等、次々にヒット作を生んでいる彼女だが、2016年にこのプロダクションでオペラ演出家デビューを飾った(映画『ソフィア・コッポラの椿姫』として公開された)。大きな話題は主役ヴィオレッタの衣裳を巨匠ヴァレンティノ・ガラヴァーニがデザインしていること。実は演出にコッポラを指名したのも彼。つまりヴァレンティノありきの製作陣とも言える。実際コッポラは、衣裳を軸に演出プランを練ったと述べており、豪奢なドレスはまるでドラマ全体を象徴するかのような強烈な存在感を放つ。

ローマ初演時の指揮者でもあるヤデル・ビニャミーニは会見で、「伝統的だが、フレッシュな新しい感覚のプロダクション。素晴らしい作品を日本で再現できるのはうれしい」と語った。主役ふたりもフレッシュな売り出し中の若手。ヴィオレッタ役のフランチェスカ・ドットは初来日。アントニオ・ポーリのアルフレード役で日本でもおなじみだ。彼らふたりもローマ初演時のキャスト。

一方、プッチーニ《マノン・レスコー》はキアラ・ムーティ演出。父親は現代の大指揮者リッカルド・ムーティだ。2012年に演出デビューした彼女だが、女優として数々の受賞歴を持つ。幼い頃から劇場で父親の仕事を見て育ったことが彼女の大きなバック・グラウンドになっていることは言うまでもないだろう。今回の《マノン・レスコー》のプロダクションは2014年にローマで初演。指揮は父ムーティだった。彼女は演出コンセプトについて次のように語った。

「プッチーニはマノンが最初から自分の宿命を予見しているかのように描いている。私も終幕の砂漠の荒野をモチーフとして、マノンの世界をその砂漠の上に作り上げました」

マノンを演じるのは、ヴィヴィッドなピンクのスーツでひときわ華やかに会見に現れたプリマ・ドンナ、クリスティーネ・オポライス。彼女も初来日だ。「現代最高のプッチーニ歌手」と称される彼女だが、キアラ・ムーティが「演技をつけながら私が感動してしまうほど素晴らしい」と激賞する、その演技力にも大いに期待しよう。

ローマ歌劇場日本公演は、《椿姫》が9月9(日)・12(水)・15(土)・17日(月・祝)、《マノン・レスコー》が9月16(日)・20(木)・22日(土)に上演(16日(日)のみ神奈川県民ホール、ほかはすべて東京文化会館)。

取材・文:宮本明

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