帝国ホテル東京で開催された樫尾和雄代表取締役会長の「お別れ会」

今年6月18日に89歳で死去したカシオ計算機の樫尾和雄代表取締役会長の「お別れ会」が、9月7日に東京・千代田の帝国ホテル東京 孔雀の間で営まれた。同ホテルの別室には樫尾和雄氏が携わった製品を展示し、カシオ計算機と同氏のあゆみを振り返った。

樫尾和雄氏は、カシオ計算機を世界的メーカーに成長させた“樫尾四兄弟”の三男。1972年に四男の幸雄氏と商品化を進めた小型電卓「カシオミニ」をヒットさせ、家庭用電卓の先駆けとなった。

83年には腕時計「G-SHOCK」を人気商品に育て上げた。カシオ計算機が時計に参入した当時は、時計はメタル外装が主流だったが、既存の大手メーカーがメタルケースをおさえていた。そこでカシオ計算機は耐性硬質樹脂を素材に使用。結果的に、丈夫で大量生産が可能な樹脂の性質を生かし、価格を抑えてカメラ量販店などの時計専門店以外でも販売できるようにした。

また、95年には民生用デジタルカメラ市場が広がるきっかけとなったデジタルカメラ「QV-10」を手掛けた。2018年には、「コンパクトカメラの時代的な役割を終えた」として生産を終了したが、同分野で培った技術は医療や製造業に向けた製品に生かされている。

88年に代表取締役社長に就任し、2015年に会長へ就任した樫尾和雄氏。「CM制作には、非常にこだわっていた」(広報)とし、会場では歴代のカシオ計算機の製品CMを映していた。晩年まで枕元にノートを置き、思いついたことを書き込んだり、アイデアを社員に伝えたりしていたという。