はじめての出会いはおそらく小学4年生のころ。我が家に念願のファミコンがやって来たときだったと思う。
私たち姉弟のもとにやってきたファミコンはいわゆるこっち。
のほうだった。
正直ちょっとがっかりした。みんなの持ってるあれがほしいと思った。
そもそも父親が知人から譲り受けたというこの品には、おまけでソフトもいろいろついていて、その中にこれがあった。
『ドラゴンクエスト』
私が小4というと、1990年。すでにシリーズは4まで発売されていた。
それまでファミコンというと「スーパーマリオ」や「バイナリーランド」のイメージだった田舎の子どもには、正直敷居が高かった。動きが少ないし、文字読まないといけないし、何より2プレイができない(=弟と取り合いになる)。
そんなこんなでしばらくはほったらかしだった。
しかし、ある日、遊びに来ていた都会っ子のいとこのお兄ちゃんがプレイするのを横で見ていた私の中で、何かが変わった。あんな単調だと思ってたものに、これだけのドラマがあったなんて! シンプルにして深く、万人を惹き付けるドラマ。
それが、あれから20年たった今でも変わらない“ドラゴンクエスト”の魅力だと今も思っている。
誕生から25周年を迎えた今年、六本木ヒルズ森タワー52階の森アーツセンターギャラリーにて、『誕生25周年記念 ドラゴンクエスト展』が開催されている。
ドラクエのこれまでの歴史をたどるとともに、細かい設定画や製作の裏側も公開されており、ファンにはたまらない展示となっている。
事前に存在は聞いていたので、迷わず“遊び人”を選ぼうとしていた私。しかし、そんなマイナーキャラへの転職は用意されておらず、それならばと武闘家をセレクト。「せいけんづき」にはだいぶ助けられたし、ま、いっか。
展示室は、この冒険の書を手に、途中のクイズやアトラクションをクリアしながら進むのだ。会場内に流れるフィールドの音楽が気分を盛り上げる。順路の脇にはタンスや意味深な扉が。
ゲームの中だったら迷わず開けるところだが、30過ぎの女子がしかもボッチでドラクエ展でにきて、係員に怒られるというのは正直つらすぎるので、やめた。
ドラキーが現れた!
へえー、ドラキーってこのくらいの大きさなのね。中くらいの柴犬とほぼ同じってとこかしら。
メタルスライムが現れた!
いつも逃げられているが、ここでは微動だにせず。ゲーム画面でみるとどちらかというとグレーなんだけど、実物(?)はかなり光沢があります。
進んでいくと、早くも竜王と対決することに。自分の職業に見合った武器を選択したら、さあボス戦へ。実際に装備できるということにテンションがあがる。
ちなみに武闘家の武器はドラゴンクロー。てっきり素手かと思っていた。
進行役の魔法使いらしき人の掛け声とともに、自分のターンがきたら装備した武器で攻撃するのだが、これが30過ぎの女子がしかもボッチでドラクエ展で……(以下略)、このアトラクション、かなりハードルが高いので、ひとり参加の人はお覚悟を。
魔法を使うタイミングも元気よく「ホイミ!」と叫んだりする、心強さが求められます。
そして最後はあの魔法でフィニッシュ! 敵を倒したあとのあの音楽が流れたときはちょっと感動しました。ちなみに武器は持ち帰れませんのであしからず。
このあとは、鳥山明先生の直筆書き下ろし原稿や、堀井雄二氏の書いた当時のプロット、すぎやまこういち氏のスコアなど、ドラクエにまつわるレアな資料展示が並ぶ。
そんなコーナーの一角にあったこのセット。
これぞ昭和のお茶の間!
展示室にはほかにも、歴代ドラクエが遊べるコーナーや、記念グッズ売り場など見どころが満載。会場の外には、これまたドラクエファンにはおなじみ、ルイーダの酒場が。ここで一杯やりながらイケメン勇者から冒険のお誘いがかかるのを待つのもアリかなという思いが一瞬アタマをよぎる。
途中のクイズをすべて解いてゴールすると、「勇者の証」なるバッチが進呈される。これを持って再度来場すると、別の冒険の書で会場を回ることができるのだとか。リピーターのためのニクイ仕掛けだ。
各展示を見て強烈に感じたのは、製作者たちのドラクエシリーズに対する深い愛情。時代が変わっても、ゲームをする環境が変わっても、プレイするハードが変わっても、途絶えることなく受け継がれてきた想いがあったからこそ、25年もの長きに渡って続いてこれたし、またこれからも続いていくのかもしれない。
都内近郊にお住まいのドラクエフリークにはぜひとも足を運んでいただきたいこのイベント。次は4人パーティで行ってみようかな。
『誕生25周年記念 ドラゴンクエスト展』
六本木ヒルズ森タワー52階 森アーツセンターギャラリー
12月4日(日)まで
公式サイト