アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズの自伝的作品『ガラスの動物園』が3月より、東京・シアターコクーンで上演される。2月6日、稽古場で会見が行われ、演出の長塚圭史と出演の立石凉子、深津絵里、瑛太、鈴木浩介が登壇した。
2011年に生誕100年を迎えたテネシー・ウィリアムズ。彼の戯曲は世界中で頻繁に上演されており、中でも本作と『欲望という名の電車』は日本でもたびたび上演されている。『ガラスの動物園』は、かつて家を捨てた息子トム(瑛太)が、観客に向けて過去の出来事を語りかける、“追憶の芝居”という形で進行する。1930年代のセントルイスでつましく暮らす3人の家族。子供たちの将来に現実離れした期待を抱いている母アマンダ(立石)。ガラス細工の動物たちと父が残した擦り切れたレコードが心の拠り所の内気な姉ローラ(深津)。父親不在の生活を支える文学青年の弟トム。ある日ローラに紹介するため、トムが会社の同僚ジム(鈴木)を夕食に招いた。惨めだった家族につかの間の華やぎがもたらされたかのようだったが……。
長塚は「普遍的な家族の話であり、切っても切れない家族の縁、業の部分が色濃く出ている。これは“追憶の芝居”なので、瑛太が演じるトムの記憶が家族を表出させていき、現代劇として力強い部分になっていくんじゃないかと思う」と語った。また、演出プランとして「家族の思い出とトムが出会う記憶と繋がるモノたち(ダンサー)を入れてみようと思った。彼と家族の隔てた時を繋ぐ細胞のような存在になれば視覚的に面白く見せられると思う」と明かした。
姉弟を演じる深津と瑛太はこれが初共演。深津の印象を尋ねられた瑛太は「深津さんがお姉さんというのは幸せです。素敵な方で、誤解を招きそうですが“武士みたいな人だな”と。どうしたらそこまでスっとしていられるのかと思います」とコメント。深津は「武士みたいと言われたのは初めてではないので、そんなに驚きはしないです」と苦笑しながらも、瑛太に対し「(役が)姉弟だからとかで無理に距離を縮めなくてもそこに居てくれて、一緒にいて疲れないから演じる事に集中できます。若いのに落ち着いていて、私とテンションが近いのかなと思います」と信頼を寄せる。また立石と鈴木はそれぞれ「このキャストと演出が長塚さんと聞いて1秒以内に“やります!”とお返事しました」(立石)、「役柄でも深津さんから憧れてもらっているなんて役者の醍醐味です。人生でもこんなチャンスは2度とないと思うので、最後の舞台になってもいいという気持ちで作品に向かいます」(鈴木)と意気込みを語った。
公演は同劇場にて3月10日(土)から4月3日(火)まで上演。チケットは発売中。