せっかく覚えたことを忘れてしまわないためには、時間をかけて、大切な記憶であることを噛みしめつつ、その都度眠ることが重要です。
眠る時間が無い緊急時には、とりあえず昼寝やうたた寝といった30分程度短い睡眠でも、記憶の整理を多少でも行った後にテストに臨んだ方が、勉強の効果がテストに反映しやすいでしょう。

また、仕事の契約や結婚や離婚のような人生における重大な決断等をするときも同じです。
五感でとらえた膨大な情報の中から、重要な記憶だけを取捨選択して、また、見逃しそうな些細な情報でも、整理整頓されることで、無意識下でその重要さが露わになり、奥深い判断ができます。
 

 “睡眠のゴールデンタイム”は寝入りばなの3時間だった

成長ホルモンの恩恵を最も受けやすい時間帯は、“睡眠のゴールデンタイム”と呼ばれ、これまでその時間は、22時~2時までだという説が広く知られていました。

しかし、最新の情報によると、正しい“睡眠のゴールデンタイム”は、時刻に関係なく、寝入りばなの3時間だということです。

“睡眠のゴールデンタイム”の恩恵によって、筋肉の疲労回復をはじめ、細胞単位でその日のメンテナンスが画期的に行われます

成長期の子どもの身体では、骨・筋肉・関節・神経の成長と同時に修復も行われます。成長期を過ぎた大人の場合は、筋肉・血管・内臓機能の細胞単位の修復が中心となります。

また“睡眠のゴールデンタイム”には、1日紫外線やエアコンの乾燥にさらされたお肌や髪の毛のメンテナンスも細胞単位で行われますので、美容・若返り効果も含まれます。ダイエットに嬉しい脂肪燃焼効果や免疫力の向上といったアンチエイジング効果、その他の健康回復効果もあります。

但し、ゴールデンタイムの恩恵を被るためには、ただ睡眠に入れば良いのではなく、寝入りばなの3時間のうち、特に最初の90分に最も深いノンレム睡眠に入れるよう“良質な睡眠”にすることが重要です。
 

“良質な睡眠”に入るための「睡眠環境」の作り方

良質な睡眠に入るためには、睡眠態勢への環境づくりも必要です。
夜遅くまで仕事や飲み会に励み、脳や内臓機能を活発に働かせて興奮状態でいるといつまでも身体が休息状態に入れません。

寝る前3時間は極力食事を避け、胃腸も空っぽにして、自律神経を副交感神経に支配させ、心身ともにリラックス状態にする必要があります。寝酒やたばこ、カフェインのように交感神経を刺激するものも避けましょう。

また、決まった時間に脳が休息状態に入れるように、適度な運動と早寝早起き、三度の食事といった規則正しい生活を心掛けましょう。

寝る前は、入浴で身体を温めリラックスさせた後に、アロマやヒーリングミュージックに身を任せ、ホットミルク等温かいノンカフェインの飲み物を飲みながら、あるいは読書をしながら、心身をリラックスしやすい環境へと導きましょう。このように睡眠環境を整えると、“良質な睡眠”生活を送りやすくなります。

良質な睡眠は、健康・美容・若返りだけでなく、記憶の整理整頓までしてくれます。
睡眠は人生の3分の1を占めるといわれています。もしかしたら、上質な睡眠時間を過ごすかどうかが、幸せで快適な人生を送れるかどうかの別れ道となるのかもしれません。

 
【参考】
nemuri.Navi「眠りのメカニズムを解き明かそう」
厚生労働省健康局「健康づくりのための睡眠指針 2014 」

心理カウンセラー・インテリアコーディネーター・社労士・旧司法試験合格といった多彩な資格を持ち、これらの資格と経験を活かして社労士事務所を経営していましたが、夫の転勤を機に事務所を廃業しました。
現在は、資格を活かしたライターのお仕事を細々とさせて頂き、心理学系・医療系を中心としたコラムを書き始めて5年目を迎えています。