WRO高校生の部で優勝した奈良県「analyzer Λ(ラムダ)」のスタート場面

WRO(World Robot Olympiad) Japanは9月9日、「第15回 WRO Japan 2018 決勝大会 in 金沢」を石川県金沢市の医王山スポーツセンターで開催。全国から地区予選を勝ち抜いた小学生から高校生までの130チーム・390名が集まり熱戦を繰り広げた。 カテゴリーは課題に沿ってロボットを組み立て、動作をプログラミングし、その精度や速さを競うレギュラーカテゴリーと、テーマに沿ったロボットをつくり、デモとプレゼンで競うオープンカテゴリーの2つ。競技・審査の結果、13チームが11月にタイ・チェンマイで開催される国際大会への出場権を獲得。すでに大阪、宇都宮で開いた2部門で選抜された3チームを合わせ、計16チームが日本代表に決定した。

自律走行ロボットで戦うレギュラーカテゴリーのうち、難易度の高い国際ルールに基づいて実施するのがエキスパート競技。小学生、中学生、高校生と部門が分かれており、それぞれの優秀チームが日本代表に選ばれる。例えば高校生部門では、ロボットが船に食糧を積み込み、その上に保温用の蓋を乗せた後にゴールするという課題だ。複雑なミッションだけに、完璧にクリアするチームが少ない中、優勝した奈良県の高校生二人組チーム「analyzer Λ(ラムダ)」はスピーディーかつ完璧にミッションをこなした。競技中「よし、よし」とロボットに気合いを入れるように動きを追いかける姿が印象的だった。

WROは、市販されているロボットキットを使い、自分たちでロボットを組み立て、自分たちで走行プログラムを書き、自律走行させてその精度やゴールまでの時間を戦う。およそ横1m、縦2mのコース上に、目印になる線が引かれ、オブジェクトと呼ばれる複数のブロックを配置。ロボットを走らせ、課題に沿ってブロックを特定の場所に再配置するなどして指定された場所にゴールさせる。ブロックを引っかけたり押し出したりする機構をロボットに実装し、プログラムを書いてコントロールする。スタートするとあとはロボットまかせ。手を触れることもできなければ、無線で操作する事もできない。

プログラミングは、ロボットの動作が定義されたアイコンをPCの画面上でつなげていくだけで組むことができる。しかし現物のロボットを動かすため、コース上のわずかな凹凸やモーターの出力のばらつきなど、物理的な環境にも影響され微妙に動きが変わってしまうことがある。そうした誤差を乗り越えてどうやって課題をクリアしていくか、柔軟な発想も求められる。(BCN・道越一郎)

関連記事