(画像左から)トム・サザーランド、藤田俊太郎 (画像左から)トム・サザーランド、藤田俊太郎

梅田芸術劇場とイギリス・チャリングクロス劇場による新プロジェクトが始動。その記者会見が9月12日、都内某所で開かれ、チャリングクロス劇場の芸術監督で、『タイタニック』再演のため来日中のトム・サザーランドと、演出家の藤田俊太郎が登壇した。

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日本演劇史上、かつてない挑戦となる今回のプロジェクト。日本とイギリスが共同で公演の企画・制作をし、イギリスキャスト版、日本キャスト版をそれぞれの国で上演する。その第1弾作品に選ばれたのが、1997年にオフ・ブロードウェイで初演されて以降、高評価を得続けているミュージカル『VIOLET』。そしてその演出を、若手実力派の藤田が担う。

サザーランドと梅田芸術劇場との出会いは、2015年に上演された『タイタニック』の初演。その後もいくつかの作品を重ね、両者は強い信頼関係で結ばれていくことになる。そして梅田芸術劇場側の「人と人のコラボ―レーションをしたい」という本プロジェクトに込めた思いに、サザーランドが「それは面白い!」と即決で応えたかたちだ。

藤田はまず英語のスピーチを披露。終盤「Sorry」と苦笑いを浮かべ、カンニングペーパーの存在を明かす場面もあったが、熱のこもったそのスピーチに、本作にかける並々ならぬ意気込みを感じさせた。続けて「僕の人生は演劇がすべて。新しい場所に行きたいし、新しい人に出会いたいという演劇的な体験を一生続けていきたい。だからこそこれだけ野心的なプロジェクトに出合えたことに、心から感謝です」と語った。またサザーランドは、「この才能あふれる演出家の作品が、イギリスのお客さまの目にも触れる機会が出来て本当に嬉しい」と藤田を絶賛した。

そんな藤田は『タイタニック』の日本初演とイギリスでのツアー版を観劇しており、その時からサザーランドに強い尊敬の念を抱いていたという。「トムさんの演出って、シンプルに言うと観客がタイタニックと一緒に旅をしているということだと思うんです。ファーストシーンでは観客があたかもタイタニックを見送ったような視点をつくり、今度はいつの間にかタイタニックの乗客になっている。タイタニックを通したさまざまな視点を体感出来るというか。観客が作品を体験することを導き出せる、数少ない演出家だと思います」

若き才能あふれるふたり。藤田演出の『VIOLET』イギリス公演は来年の1月に、サザーランド演出の『タイタニック』再演は、10月1日(月)東京・日本青年館ホールで開幕する。

取材・文:野上瑠美子

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