エサ=ペッカ・サロネン (c)Katja Tahja エサ=ペッカ・サロネン (c)Katja Tahja

多くのオーケストラがひしめくロンドンにあって、1945年創設のフィルハーモニア管弦楽団は「ロンドン5大オーケストラ」と称される名門のひとつだ。首席指揮者兼アーティスティック・アドヴァイザーを務めるエサ=ペッカ・サロネンとともに3月に来日、全国5都市で7公演を行なう。

「エサ=ペッカ・サロネン指揮 フィルハーモニア管弦楽団」の公演情報

フィルハーモニア管はもともと、英国のレコード会社EMIの名プロデューサーだったウォルター・レッグが、自社の録音のために腕利き奏者を集めて組織したオーケストラ。録音の仕事が多いのは現在でも楽団の特色のひとつで、クラシック音楽だけでなく、映画音楽などの商用音楽も幅広く録音している。最近の面白い仕事でいうと、『ハリー・ポッターと死の秘宝』のゲームソフトの音楽を録音したのが彼ら。とはいえ、もちろん軸足はクラシック音楽にある。フルトヴェングラー、カラヤン、クレンペラーを始めとする20世紀の巨匠たちに愛され、数多くの名演を残してきた歴史は輝かしい。

タクトをとる「北欧の貴公子」サロネンは1958年ヘルシンキ生まれのイケメン。2008年に現ポストに就く以前にも、まだ20代の頃から10年ほど首席客演指揮者を務めていた時期があるので、フィルハーモニア管との関係は深い。

今回の来日プログラムの大きな核が、彼の祖国フィンランドの英雄であり、生誕150年の記念イヤーを迎えているシベリウスだ。母国ではシベリウスがあまりにも大きな存在のため、学生時代のサロネンはシベリウスをやや敬遠気味で、その真の魅力に気づいたのはフィンランドを離れてからだったそう。逆に言えば、文字どおり嫌というほど血肉に染み込んでいる音楽なのだ。交響曲第2番や第5番など、これを機会にシベリウスをという入門者にもうれしい名曲を披露する。

サロネンがタブレット端末を使って作曲するテレビCMを記憶している方も多いのでは。作曲家でもある彼の、近現代音楽に向ける眼差しは鋭い。前回来日の《春の祭典》につづいて、ストラヴィンスキー《火の鳥》を聴けるのは楽しみだ。

共演陣も豪華。「クール・ビューティ」ヒラリー・ハーンは、情熱と哀感が交差するブラームスのヴァイオリン協奏曲に、切れ味鋭い知的なアプローチを聴かせてくれるはず。そして東京での一公演[3月6日(金)]限りだが、ますます巨匠の風格を漂わせてきたイェフィム・ブロンフマンが弾くチャイコフスキーのピアノ協奏曲にも期待が高まる。

◆エサ=ペッカ・サロネン指揮 フィルハーモニア管弦楽団
2015/3/1(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2015/3/3(火) 愛知県芸術劇場 コンサートホール
2015/3/4(水)・6(金) サントリーホール 大ホール
2015/3/5(木) 川口総合文化センター リリア メインホール
2015/3/7(土) 東京芸術劇場 コンサートホール
2015/3/8(日) 横浜みなとみらいホール 大ホール