多彩なアプローチで、憂鬱も吹っ飛ばす!

続いて、モニターにてメンバーがアテレコした(ド●えもん風)アニメが始まり、なぜ??と思いきや……なるほど『SxNxO』か!! 念のため解説すると、『SxNxO』は今アルバムに収録された曲で、「金持ちをカサに着たイヤミな男」に対するヘイトソングなのだ。つまりはス●夫のこと……この導入に、なるほどなぁ、と変に感心したりした(笑)。

『JAPANNEEDS』で盛大に「わっしょい!!」を合唱し、びしょ濡れタオルをぶん回す。『猿』ではカッパを着たまま、みんなモンキーダンスをする。こういう何というか、一種お祭りロック的な変なノリは、BugLugの得意とするところだと筆者は思う。そして、ファンもそれを楽しみにきている部分も多分にあると思っている。

一樹(Gt) 撮影:中村卓

かと思えばレーザーライトバリバリでメカニックな世界観を作り込む『SINGULARITY』、おどろおどろしい雰囲気を全開にした『ASHURA』、うねるベースラインで全員をトランスさせる『言刃』……実にさまざまなアプローチで客席を掴んでくる。

客席もずぶ濡れの中充分に疾走していると思うが、一聖の「もっとパワー出せるんじゃないの!?」の声に一層奮い立つ。そして始まった『SHISHIMAI』では、あまりにもカッコいいファン一同のローリングヘドバン姿に、心の中で喝采を贈った。

優(Gt) 撮影:中村卓

彼らの言う“完全世界”を体現したような『絶交悦楽論』、雨の中のコーラスが何かを奮い立たせるようなエモい『V.S』、そしてラストの『解体心書』へ。

日比谷野外大音楽堂の白いステージ全体を使った、プロジェクションマッピングのような映像をバックに、心の限りにメッセージを歌い上げる一聖。

「生きていたら、きっと笑顔になれる日もある。俺にとってそれは、今日だと思ってる」

この語りから、一聖がこの日のライブを心底楽しんでいたことがしっかりと伝わってきた。BugLugのロゴをバックに、本編ラストソングが終わる。

音が空気中に拡散していく野外会場の難しさ、3度目の野音という期待、雨天という悪コンディション……それらの逆境を見事にはねのけ、想像もしなかった形でワンマンを成功に導く。“逆境に強い”と言われるBugLugの負けん気は、こういうところでものすごく良い形で発揮されるのだ。

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