JiLL-Decoy association ライブの模様 撮影:Yasunari Akita JiLL-Decoy association ライブの模様 撮影:Yasunari Akita

3人組ユニット、JiLL-Decoy association(ジルデコイ・アソシエーション)、通称ジルデコが、2月13日に名古屋・JAMMIN'でライブを行った。昨年10月に発表した最新アルバム『ジルデコ6~Just a Hunch~』を引っ提げての全国ツアーの一環であり、地方での最終公演となったこの日は、chihiRo(Vo)、kubota(G)、towada(Dr)のメンバー3人に、ベース、ピアノ、トランペット、サックスを加えたフルバンド編成でステージに登場。最新作の収録曲をすべて披露した一夜となった。

【チケット情報はこちら】

ジャズやロック、ポップスをベースにした楽曲と抜群のライブパフォーマンスで音楽好きから人気を得る彼らだが、この日のオープニングは楽器陣によるいぶし銀の抑えた演奏でスタート。椅子に座りステージを見つめる観客の期待と緊張が高まる中で、chihiRoが登場し最新作の中でも人気の高い『月光』を歌い始めた。発声前の息遣いや歌い終わった後の余韻までを感じられる濃密な空気感の中、過去のアルバムからの『GARDEN』『Brand-new life』で一気に会場内のテンションがアップ。リズムに体を揺らし、手拍子をとる音が大きくなり、観客は自然にジルデコの音楽に巻き込まれていた。

「うちの“ちょっとメセニー”です」とkubotaを紹介して始まったパット・メセニーのカバー『so may it secretly begin』に続けて、『INSTinct』『6th HUNCH』『伝わっちゃう』と次々に披露。アップテンポでファンキーな楽曲でもミドルやスローな楽曲でも、曲の世界を伝えるchihiRoの表現力は見事で、まるで歌の登場人物になりきったかのような表情の変化にも驚かせられた。

ライブ後半には、観客も一緒になってコーラスを楽しんだ『ジオメトリックな恋人』や楽器陣のソロパートも見応えのあった『Freedom Express』、クリーントーンのワウギターの音色が印象的だった『Nightswimming』、大人のメルヘンを感じられた『メッセージ』が続き、彼らの音楽的な懐の深さと鍛え上げられた演奏力を存分に感じられた。本編最後には、EGO-WRAPPIN'の森雅樹がアレンジを担当したことでも話題となった『光の子どもたち』を演奏。この曲で愛おしいファンのことを“光の子ども”に例えたというchihiRoだが、ステージ上で歌っている彼女自身が子どものように天真爛漫に楽しんでいるのが伝わる笑顔だった。アンコールでも2曲披露し、観客は総立ち。新作のタイトル“Just a Hunch(なんかいい感じ)”どころか「最高!」の歓声で幕を閉じた約2時間の公演だった。

なお、ジルデコはこの後、2月28日(土)・3月1日(金)に東京・日本橋三井ホールで2days公演を開催。1日目と2日目でセットリストが異なり、演奏曲のアレンジなども変わるそうなので、全国から駆けつける価値のあるツアーファイナルになりそうだ。チケットは発売中。

取材・文:澤井 敏夫