必要となった後方撮影タイプのドライブレコーダー

2017年6月に発生した、東名高速道路で「あおり運転」をされた車が大型トラックに追突され、夫婦が死亡した事故から、1年以上が経過した。あれから交通事故に関する報道では、ドライブレコーダーの映像が多く使われるようになり、警察の捜査でもドライブレコーダーの映像解析から犯行の立証につながった例も出てきている。このあおり運転について、後方からの脅威に対し、前方だけでなく後方も撮影できるドライブレコーダーの需要が高まっている。 BCNが18年1月に行った「ドライブレコーダー調査」では、ドライブレコーダー保有者701人に対してアンケートを実施したところ、利用している製品を購入した決め手として、前方だけでなく後方も映る製品を選んだ人はわずか5.3%だった。一方、ドライブレコーダーを買い替える場合に重視する点で後方も映ることを重視すると回答した割合は41.5%。そのギャップは36.2%もあった。現在、ドライブレコーダーを保有している人も、一連の報道からか、いかに後方も撮影したいニーズが高まっているかがうかがえる。

では、後方も一緒に撮影できるドライブレコーダーは市場でどのくらい販売されているのか。全国の家電量販店やネットショップから実売データを集計している「BCNランキング」によると、後方撮影が可能な「リアカメラ付属製品」の販売台数構成比は17年8月時点で約0.3%とほとんど出回っていなかったが、18年8月では13.5%まで上昇している。

販売台数構成比は、18年8月時点で13%台と決して高いとはいえないが、これはリアカメラ付属製品を販売するメーカー数が限られていることが原因。同じく、BCNランキングで算出した、18年1~8月のリアカメラ付属製品におけるメーカーシェアでは、コムテックが約93.3%と圧倒的なシェアを誇る。従来のドライブレコーダー市場で2位、3位を争っているユピテルやJVCケンウッドは、該当期間内の販売が見られなかった。そんな中、セルスター工業が18年6月に「CSD-790FHG」を発売、JVCケンウッドが18年10月上旬に「DRV-MR740」を発売予定と、各社が市場投入の準備を整えつつあり、年末商戦はリアカメラ付属のドライブレコーダー市場が盛り上がることは間違いない。

季節が秋に染まり涼しくなる中、家族でドライブに出かけるケースも多いだろう。安全対策のためにドライブレコーダーを購入検討される際は、前方の撮影だけではなく、後方にも注意がまわるリアカメラ付属製品をお勧めしたい。(BCN・栃木 亮範)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。