「猫になりた~い」と思ったあなた!シュールで「ククク」と笑えるお話はいかが?

ところでみなさんは、「猫になりた~い!」と思ったことはありませんか? 私は、「一日中好きな人の膝の上でゴロゴロできる」なら、猫になりたいな、と思ったことがあります(笑)。

そんな私の「猫になりたい願望」を、「猫って大変なんだぜ?なめんなよ!」と、切実にコンコンと語りかけてくれるように教えてくれた作品があります。

イギリスを中心に絵本作家、イラストレーターとして活躍する、きたむらさとしさんが描かれた『ぼくネコになる』(小峰書店)という絵本です。
 

人間の「僕」が、とんがりぼうしのおばあさんに何やら呪文をかけられ、飼い猫の「レオナルド」と入れかわってしまうお話なのですが、これが中々シュールです。

猫になってしまった僕は、おとなりの猫「ジョコンダ」に顔をなめまわされたり、犬に追いかけられたり、目つきの悪いねこたちと、取っ組み合いのケンカをしたりするのですが、もっとかわいそうなのは、突然人間に変身させられてしまった猫の「レオナルド」の方なのでした!

「僕」になってしまったレオナルドは、疲れきった顔で学校から帰宅し、猫の小さなドアから家に入ろうとし、セーターをペロペロなめまわし、熱心に金魚の観察を始めます。

その後歯をむき出しにして怒りだし、心配したお母さんにお医者様を呼ばれてしまいます!
さて、この入れかわった二人は、どうなってしまうのでしょうか? 思わず「ククク」と笑ってしまうシュールなラストにご注目ください!

それにしても、猫の方は「人間になりたい」なんて、きっと思わないですよね。

 

シュールで楽しい猫絵本と言えば、あの手塚治虫とは親友で、福井英一とともに「児童漫画家界の三羽ガラス」と言われ人気を博した漫画家・絵本作家の馬場のぼるさん作の「11ぴきのねこ」(こぐま社)シリーズも、オススメです!

11ぴきの「のらねこ」たちが毎回一騒動起こしてくれるのですが、この猫ちゃんたち、とっても本能に忠実で、ダメと言われたことはやるし、行くなと言われれば行くし、食べるなと言われれば食べちゃうのです。

特に『11ぴきのねこ』『11ぴきのねことあほうどり』という作品は面白いです!
み~んな好き勝手にやっているように思える猫たちが、お腹がすいたら11匹、一致団結して、美味しいものを食べるために頑張ります!
 

湖に怪物みたいな「おおきなさかな」を食べに行く11匹、「あほうどり」という名の「とりのまるやき」を食べようと企む11匹、ドタバタととても面白い冒険をしてくれます。

「これをしたらダメだよ」という、教育的な教えが全く描かれていないのに、そして毎回少しシュールなラストを迎えるのに、読み終わると心がじんわり温かくなるお話でもあります。


さて皆さん、今回の「猫絵本特集」はいかがでしたでしょうか?気になった絵本はありましたか?

自由で気ままで、でも時にツンデレな甘えん坊で、可愛い仕草満載の、全てにおいて我々をトリコにしてしまう、猫ちゃんたちの可愛さや奥深さがたくさんつまった絵本ばかりです。
よかったら皆さんぜひ、「猫の日」に合わせて、絵本を読んでみてくださいね。
 

 京都府在住の26歳。三度の飯より本が好きで、またそのレビューを書くことを何よりも愛している。毒のある本やミステリーが好き。主に「読書」の分野で記事を書いています。いつでもアワアワしているフリーランスのライターです。 Blog