いっぱい関連商品を出せるということは、せっせと買ってくれる熱心なリスナーがいるということ。
そして、彼らは、特筆すべきあるひとつの特徴を持っている。
彼らは安部礼司を等身大の身近な存在として捉えているのだ、あたかも実在の人物のように。
mixi内の安部礼司コミュニティの登録者はすでに1万人を突破、
彼らは日々、安部礼司について語っている。
2009年に渋谷C.C.Lemonホールにて開催された、安部礼司と倉橋優の結婚式イベント『NISSAN あ、安部礼司 ウェディングパーティー~本気でオンリー優~』には、
約2000人のリスナーが全国から来場し、ふたりの旅立ちを本気で祝福していた。
あたかもホントの友達のように。


今回のイベントと同じ熱を放っていた『NISSAN あ、安部礼司 ウェディングパーティー~本気でオンリー優~』 

うーん、すごいな安部礼司! すごいラジオ番組だぞ『NISSAN あ、安部礼司』!
ラジオドラマだから、安部礼司は基本、顔を出さない。基本、声だけだ。
にも関わらず、すごい大人気、すごい愛されようじゃん、安部礼司!
で、安部礼司……なんでこんなに愛されてんだろ?
それにはきっとワケがある、たぶん日曜の黄昏時にワケがあるはずだ。


本来、人は刺激を求めて生きている。
刺激を求めているくせに、日曜の黄昏時だけは、ほっとしたくなる。
たまらなく、ほっとしたくなる、日曜の黄昏時ってのはそういうもんだ。
そんな日曜の黄昏時、ラジオから安部礼司の声が流れてくる……。
ありふれた人・安部礼司のありふれた生活における、ありふれた話……。
取るに足らない、ありふれた生活、ありふれた話ではあるが、
それは、まさに自分自身の生活そのものであり、
自分自身の話そのものであることにリスナーは気づかされる。


そして彼らは、こうも感じるはずだ。
ありふれた生活を送れている幸せを、ありふれた話に一喜一憂できる幸せを、
ありふれた自分でいられる幸せを。
ありふれた自分であることは、ちょっと悔しいことかもしれない。
でも、安部礼司と過ごす日曜の黄昏時くらい、
ありふれた自分であることを素直に認めたっていいや……
彼らは、きっとそんな気持ちになり、いつしかほっとするのだろう。
だから、安部礼司に共感する。
だから、安部礼司を愛しいと思う。
なぜならば、安部礼司という存在は、まさしくリスナーひとりひとりそのものなのだから。
日曜の黄昏時、安部礼司を聴く、安部礼司に共感する。
そして、幸せを感じて、ちょっとほっとする。 

おおさわ・なおき 編集者歴20年強。趣味は、読書と落語とお笑いとスポーツ観戦(特にプロ野球と大リーグ、メジャーリーグなんていいません、大リーグです)を深く愛する。おまけにねこも深く愛しております。