親が、子どもに見せたくなる「珠玉の名作」に仕上がっている
ところで、ディズニーはなぜ、『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』を、『シンデレラ』同時上映としたのだろうか?
マーケティングにうるさいディズニーが、何の考えもなしに、幼児を中心に大人気となっている『アナと雪の女王』の、続編短編を、実写映画の抱き合わせにするとは思えない。
■『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』予告編
鑑賞して、答は明確になった。実写映画『シンデレラ』は、“親が、子どもに見せたくなる作品” なのだ。
たとえば、映画『アナと雪の女王』は、エルサがコンプレックスを克服する物語だ。
一方、劇中、シンデレラには、克服すべきコンプレックスは存在しない。
(この点、シンデレラは、現実にはまずあり得ないような、究極の理想像だ。“ディズニーらしい、おとぎ話らしさ” を失っていないのは、この人物設定が要因であるように思う)
彼女が向き合うのは、ちょっとした不運であり、人生に誰にでも起こりうる理不尽だ。あるいは、人間ならば誰しもが抱える、不安や恐れだ。
しかし、最愛の人々に、心から愛されて育ったシンデレラは、世界を広げていける。
“本当の強さ” とは、ありのままの自分自身を受け入れ、信頼できる人間にこそ、宿るのである。
私は、6歳の娘と、3歳の息子の父親だが、「もし憧れるのなら、この映画のシンデレラのような人に憧れてほしい」と、はっきりと思うのだ。
これは言うまでもなく、古典『シンデレラ』からは、得られなかった感覚だ。
『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』を子どもたちに見せたかった、世の中のお父さんお母さんは、安心していい。
実写映画『シンデレラ』は、子どもに見せる想定で作られている作品だ。
“ディズニーのシンデレラ” と言えば、この作品を指すようになるだろう
これから先、“ディズニーのシンデレラ” と言えば、1950年公開のアニメーションではなく、この実写版を指すようになるだろう。
“これぞディズニーのおとぎ話” と言える、王道中の王道であり、現代的な価値観に対応した新しさがあり、映画としての質も文句の付けようがない。まさにパーフェクトな作品と言える。
私は実は、ディズニーファンとしては、経歴が浅い。
再び黄金期を迎えたディズニーを、リアルタイムで、近くから見られる仕事についていられる幸運に、感謝したい。
ぜひ、ディズニーの新時代を、自身の目で確かめてほしい。
この実写版『シンデレラ』を、リアルタイムに劇場で観たという事実は、きっと、あなたの孫の世代に、自慢できる出来事となるはずだ。