パシフィコ横浜で開催中の「CP+2012」

レンズ交換型デジタルカメラのなかで存在感を増しているミラーレス一眼。BCNランキングによれば、今年1月のレンズ交換型デジタルカメラの販売台数構成比でミラーレス一眼は51.4%となり、初めて一眼レフカメラを上回った。2008年にパナソニックが初のミラーレス一眼「LUMIX G1」を発売してから3年あまり。ミラーレス一眼市場は急速に拡大している。

では、カメラと写真映像の祭典「CP+2012」の会場で目を引いたミラーレス一眼の新製品を紹介していこう。昨年はコンパクトでカラフルな女子向けの「女子カメラ」が会場に花を添えたが、今年はクラシカルなデザインで、画質にこだわった本格モデルが注目の的だ。

●富士フイルムが満を持して送り込む超高級ミラーレス一眼「X-Pro1」

富士フイルムが満を持して市場投入するのが、高級コンパクトデジタルカメラ「Xシリーズ」の本命中の本命、「FUJIFILM X-Pro1」だ。フィルムカメラを思わせるクラシカルなボディに高画質技術を凝縮した。

銀塩フィルムの構造からヒントを得て開発した1630万画素の「X-Trans CMOSセンサー」を搭載し、フルサイズセンサに匹敵する解像感・低ノイズでの撮影を実現した。発売は2月18日で、価格はオープン。実勢価格は15万円前後の見込みと、ミラーレス一眼のなかでは機能だけでなく価格も“超高級”だ。

実機の体験コーナーには、初日の午前中から長い列ができた。時間がたてばたつほど長くなっていった行列を乗り越えて、実機に触れた来場客からは「思ったよりも軽い」という声が上がっていた。

●フィルム時代の名機がミラーレスになって復活、オリンパス「OM-D」

コンパクトでかわいい「PEN」シリーズを発売しているオリンパスから、本格的な撮影ができる「OLYMPUS OM-D E-M5」が登場する。

「OM-D」は、1972年に発売された世界最小・最軽量の一眼レフカメラ「OLYMPUS M-1」(後に「OM-1」の改称)のDNAを受け継いだ一台だ。

1605万画素の4/3型Live MOSセンサと、画像処理エンジン「TruePic VI」を搭載し、同社市場最高の高画質を実現した。上下・左右方向の角度ブレ、垂直・水平方向の並進ブレ、回転ブレの計5種類のブレに対応する5軸手ブレ補正を備える。発売は3月下旬で、価格はオープン。実勢価格はボディ単体で10万5000円前後の見込みだ。

こちらも富士フイルムの「X-Pro1」同様、黒山の人だかりで、実機に触れるには長い時間がかかる。しかし、並ぶ価値のある一台だ。

●トイカメラ風のデザインを採用したペンタックスの「K-01」

クラシカルモデルではないが、ペンタックスとリコーの合同ブースで目を引いたのは「PENTAX K-01」だ。初めてフィルム一眼レフから続く「Kマウント」を採用したミラーレス一眼で、独特のデザインがポイント。

デザインは世界的なインダストリアルデザイナー、マーク・ニューソン氏が手がけ、オリジナルデザインの“レッドボタン”や“グリーンボタン”などを配置。グリップラバーのホールド感もいい。

発売は3月中旬で、価格はオープン。実勢価格はボディと「smc PENTAX-DA40mmF2.8 XS」のレンズキットが8万円前後の見込みだ。

●ミラーレス対応レンズも続々登場 撮影の幅がもっと広がる!

ミラーレス一眼は、まだまだ成長過程の製品だ。カメラ本体は各社から続々と登場しているが、対応レンズはまだまだ少ないのが現状だ。特にコンパクトなミラーレス一眼の特徴を生かすため、大きくなりがちな望遠レンズの製品数はまだまだ少ない。

1月26日に、アストロデザイン、ケンコー・トキナー、タムロンの3社がミラーレス一眼の共通規格「マイクロフォーサーズシステム」規格に賛同すると発表した。

ケンコー・トキナーのブースでは、ミラーレス一眼対応のミラーレンズを展示している。ミラーレンズは、内部でドーナツ型のミラーで外から入る像を反射させているレンズで、小型でありながら焦点距離の長いレンズをつくることができる。

展示しているのは、マイクロフォーサーズ用の300mm F6.3のミラーレンズ(35mmフィルム換算で600mm相当)と、ソニーの「NEX」が採用するEマウント対応の「Kenko ミラーレンズ 400mm F8」(35mmフィルム換算で800mm相当)の2本。

タムロンは、「NEX」対応のズームレンズ「18-200mm F/3.5-6.3 Di III VC」を展示。焦点距離は35mmフィルム換算で27~300mmで、幅広い撮影シーンで活躍する。

シグマは、同社初のミラーレス用レンズ「SIGMA 19mm F2.8 EX DN」と「SIGMA 30mm F2.8 EX DN」を展示した。両方とも、「NEX」のEマウント用とマイクロフォーサーズマウント用を用意する。

交換レンズのラインアップが増えれば増えるほど、撮影の幅がより広がり、写真を撮るのは楽しくなる。ぜひ愛機を会場に連れて行って、実際にレンズを装着して試してほしい。

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