1月28日のビックカメラ渋谷東口店別館オープンに続き、ビックカメラ東口店が本館に名称を変更して、2月5日にリニューアルオープンした。理美容品や日用品を拡充したほか、玩具の販売を開始するなど、外国人観光客をはじめ、ファミリーや女性が気軽に来店できる環境を整えた。別館のオープン、本館のリニューアルオープンによって、ビックカメラ渋谷東口店は、行き交う人々で賑わう東京・渋谷で来店者の増加を狙う。

ビックカメラ渋谷東口店(下)

店舗データ(本館)

住所 東京都渋谷区渋谷1-24-10

オープン日 2015年2月5日(リニューアル)

売り場面積 約1800m2

従業員数 約100人(正社員)

●来訪者で賑わう宮益坂周辺 老舗店舗の新たな挑戦

東急文化会館跡地に、2012年に誕生した複合商業施設、渋谷ヒカリエによって、さらに活気に溢れている渋谷駅東口周辺。宮益坂下交差点は、平日や休日を問わず多くの人で賑わっている。この多くの来訪者を自店に引き込んで販売増に生かそうとする店舗は少なくない。  1月28日に別館をオープンしたビックカメラ渋谷東口店は、別館に続いて従来の店舗を本館という名称に変えて2月5日にリニューアルオープンし、大幅なレイアウト変更と品揃えの強化を図った。もともとのビックカメラ渋谷東口店は1993年2月のオープンと、渋谷の家電量販店のなかでは老舗だ。主に宮益坂方面のオフィスに勤務する男性の会社員を顧客として獲得していた。周辺を見回せば、道玄坂方面にはビックカメラ渋谷ハチ公口店を構えており、この店舗で学生を中心に顧客を獲得していた。2店舗体制で渋谷でのシェアを拡大。ビックカメラ渋谷ハチ公口店の目と鼻の先には、売り場面積が5000m2規模のヤマダ電機LABI渋谷が出店しているものの、オープンから20年以上の歴史があるという信頼感、さらに品揃えを棲み分けるなど2店舗の連携強化によって、大型店舗のヤマダ電機LABI渋谷に引けを取っていなかった。また、ビックカメラとヤマダ電機という大手家電量販店が出店していることから、家電の購入を目的に来訪する人も増え、渋谷は全国屈指の家電の街としての地位を確立した。

ビックカメラ渋谷東口店は、これまでも渋谷の地に根づいていたが、「リニューアルオープンは既存のお客様を満足させることはもちろんのこと、街の来訪者増に合わせて、いかに新規のお客様を獲得できるかがカギ」と、眞木内隆店長は捉えている。

●1階に来店しやすい商材を揃える 子どもが楽しめる環境づくりも

ビックカメラ渋谷東口店本館でこだわったのは、「お客様が来店しやすいよう、まず1階に気軽に購入できる商材を揃えた」と、眞木内店長はいう。1階では、薬や理美容器具などを販売。女性の来店を促すことが目的だ。また、免税商品を置いて、外国人観光客の来店促進にもつなげている。

2階も、女性や外国人観光客が好む商品を揃えている。東京・池袋で人気のDPEと写真雑貨の専門店「BIC PHOTO」をコーナーとして設置。このコーナーには、デジカメプリントはもちろん、フィルムの現像やプリントなどのDPEサービス、写真を飾るアルバムやフォトフレームなど、写真を楽しむためのアイテムやヒントが詰まっている。加えて、2階ではビックカメラが得意とするデジタルカメラも販売。豊富な品揃えによって、外国人観光客に加えてカメラを趣味とする男性が満足するフロアに仕上げている。

新しく取り扱いを開始したのは玩具だ。「既存のお客様から、『子どもを喜ばせるため、会社帰りに玩具を買っていきたい』という要望が多かった」と、眞木内店長は説明する。渋谷にはベビーカーを引くファミリーの来訪も増えている。渋谷には幼児や小学生を対象とする玩具ショップが少ないことから販売を開始したという。

このほか、オーディオコーナーは売り場面積を約2倍に拡大し、イヤホンやヘッドホンの品揃えを強化。さまざまなメーカーの商品がずらりと並ぶ。「専門性の高い商品の引き合いが強い。最先端の商品を好むお客様から好評」と眞木内店長は満足げだ。また、テレビでは4Kコーナーを新設。一般消費者の4Kテレビに対する購入意識の高まりは渋谷も同じで、テレビの買い替えで4Kテレビを検討しているお客様が多い。

デジタル機器や家電に限ったことではないが、渋谷には商品知識が豊富な人が来訪することが多く、実物をじっくりと触って納得してから購入する傾向がある。眞木内店長は、「渋谷の街に来訪する方々が満足する売り場づくりを追求していく」という。別館の新規オープンと本館のリニューアルオープンによって、売り場面積が約1.6倍に拡大し、別館ではゴルフなどスポーツ用品売り場の新設やウェアラブル機器の品揃えの充実、本館では玩具の新規取り扱いや理美容器具の拡充など、さらに強力な店舗に生まれ変わって再スタートを切ったビックカメラ渋谷東口店。狙い通り、外国人観光客など新規の来店者が順調に増えているようだ。「地域No.1店舗としての地位を確立する」と、眞木内店長は自信をみせている。

●店長が語る人気の理由――眞木内隆 店長

池袋本店を経験し、ラゾーナ川崎店の立ち上げに参画、船橋駅前店で店長を務めた。渋谷東口店の店長に就任してからは1年ほどが経過する。「駅前の再開発で、ますます賑わうようになった」。眞木内店長が抱く渋谷の印象だ。

別館には「館長」という肩書きで責任者が存在し、眞木内店長は本館を指揮する立場だ。「本館と別館との連携強化がお客様を増やすうえでカギを握る」。アイテムごとの担当なので、スタッフは本館と別館にそれぞれ配置されているが、「各スタッフが多くの商品知識をもつことが大切」と捉えて、定期的にスタッフのシフトを変えるなどスキルアップを図っていく方針だ。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2015年2月23日付 vol.1568より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは